アジャイル開発でテストを効率よく自動生成する技術:富士通研究所らが開発
米Fujitsu Laboratories of Americaと富士通研究所は、アジャイル開発に向けたテストを効率よく自動生成する技術を開発した。
米Fujitsu Laboratories of Americaと富士通研究所は2016年3月29日、アジャイル開発向けのテスト自動生成技術を開発したと発表した。テスト工数を抑え、開発効率を向上させるとしている。
アジャイル開発は、ソフトウェアに対する要求や仕様を小規模改変して提供するというサイクルを短期間で繰り返す開発手法。要求や仕様の変更に柔軟かつ迅速に対応できる特徴がある。一方のテスト自動生成技術は、一般にソースコード上の変数の値に応じて「動作が変化する部分」を自動的に解析して、全ての条件を網羅するようなテストを生成する。
こうした技術をアジャイル開発に適用すると、ソースコードが頻繁に改版されるため、テストの規模が肥大化するという課題があった。ソースコードの改版に当たって、改版前のテストでは試験できない部分が含まれる場合に、テストケースを新たに追加生成する必要があったからだ。
富士通研究所らが開発した技術では、ソースコードに追加実装した部分に影響する変数を探索し、変数単位で部分的にテストを修正・追加することで、上記のような課題を解決したという。
具体的には、入力変数単位でテストコードを再利用し、ソースコードの各行に関連する入力変数を効率的に探索すること(関連入力変数探索方法)で実現したという。
実際に富士通研究所らが同技術を約5000行のオープンソースソフトウェアに適用した実験によると、テストコードの増加分が従来の技術に比べて24分の1に抑えられることを確認したとしている。両社では、2016年度中の実用化を目指す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 組み合わせテストを科学的に効率化する――手法とツール、品質保証のための道具
あらゆる条件を網羅したテストを実行することは現実的ではありません。しかし、職人技と勘、あるいは闇雲にテストツールに頼っても、科学的に品質を保証できません。最小のコストで品質を保証するための手法と、その考え方、制約がどのようなものかをじっくり見ていきましょう。 - プロマネ初心者に送るプロジェクト管理の基礎知識まとめ
プロジェクト管理の基礎からアジャイル開発の理想と現実、成功例と失敗例、を紹介し、ベストプラクティスを提案する連載。初回は、そもそもプロジェクトとは、プロジェクト管理とは何かについて解説し、プロジェクト推進における4+1のフェーズを紹介する。 - 技術知識の深さ、広さを併せ持つ「T字型人材」とノウハウ共有を核に、マーケットを拡大――サーバーワークス
クラウドの浸透などを背景に、「SIビジネスが崩壊する」と言われて久しい。だが顕在化しない“崩壊”に、かえって有効な手立てを打てず不安だけを募らせているSIerも少なくないようだ。本特集ではSIビジネスの地殻変動を直視し、有効なアクションに変えたSIerにインタビュー。SI本来の在り方と行く末を占う。