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Hyper-Vホストクラスタの新機能──仮想マシンのノードフェアネスvNextに備えよ! 次期Windows Serverのココに注目(53)(2/3 ページ)

Windows Server 2016のフェイルオーバークラスタリングには、さまざまな新機能が搭載される予定です。今回と次回は、「Windows Server 2016 TP5」から利用可能になった、Hyper-V関連の2つの新機能を検証します。

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「仮想マシンのノードフェアネス」は既定で有効

 仮想マシンのノードフェアネスは、Windows Server 2016 TP5から利用可能になった、Hyper-Vホストクラスタにおける負荷の平準化機能です。

 Windows Server 2012以降のHyper-Vクラスタでは「クラスタ対応更新(Cluster-aware Updating)」という機能がサポートされ、仮想マシンを「ライブマイグレーション(Live Migration)」でオンラインのノードに退避しながら、クラスタ内のノードを順番にWindows UpdateやWindows Server Update Services(WSUS)で更新し、クラスタ全体の更新を自動化することが可能です(画面1)。

画面1
画面1 Windows Server 2012以降のフェイルオーバークラスタリング機能でサポートされた「クラスタ対応更新」。仮想マシンの可用性を維持しながら仮想化基盤の更新が可能だが、仮想マシンの負荷バランスは考慮されない

 しかし、クラスタ対応更新では仮想マシンの負荷バランスは考慮されず、更新が完了しても、仮想マシンが元の場所に自動的に配置されることはないため、管理者がバランスを考慮した配置を手動で行う必要があります。また、仮想化基盤の規模を拡張するためにノードを追加した場合も、新しいノードに手動で仮想マシンを再配置する必要がありました。

 これまで、仮想マシンをノードの負荷に応じて自動的に再配置する機能は、「System Center Virtual Machine Manager」が提供してきました。System Center Virtual Machine Managerの「動的最適化」機能を利用すると、ノードの負荷を監視して、仮想マシンが使用するCPU、メモリ、ディスクI/O、ネットワークI/Oのリソース量に応じて負荷を平準化するように、ライブマイグレーションで仮想マシンを再配置することができます(画面2)。

画面2
画面2 System Center Virtual Machine Managerの「動的最適化」機能を利用した負荷の平準化

 Windows Server 2016 TP5で追加された仮想マシンのノードフェアネスは、System Center Virtual Machine Managerの動的最適化機能の一部を、Hyper-Vホストクラスタの標準機能として実装したものと考えるとよいでしょう。

 仮想マシンのノードフェアネスは、仮想マシンに割り当てられた現在のメモリ量と5分間平均のCPU使用率に基づいて、「低(Low、既定)」「中(Medium)」「高(High)」の強度(即応度)のいずれかに従って仮想マシンをライブマイグレーションで再配置し、負荷を平準化しようとします。

 また、Hyper-Vホストクラスタに新しいノードが追加されたり、停止していたノードが復帰したりした際に、仮想マシンをライブマイグレーションで再配置して、新しいノードを含めて負荷を平準化します。

 この機能は既定で「有効」になっており、クラスタのプロパティの「Balancer」タブで構成できます。「Enable Automatic Balancing of Virtual Machines(既定でオン)」が、仮想マシンのノードフェアネスの有効化/無効化の設定です。「Load balance to a node when it joins」は、ノード追加時のみに負荷を平準化します。「Always load balance(既定)」は、ノード追加時および30分ごとに負荷を平準化します(画面3)。

画面3
画面3 仮想マシンのノードフェアネスの構成

 仮想マシンのノードフェアネスの設定は、クラスタの「AutoBalancerMode」プロパティの値をWindows PowerShellで変更して構成することも可能です。

 また、仮想マシンのノードフェアネスの強度(即応性)も、Windows PowerShellでクラスタの「AutoBalancerLevel」プロパティの値を変更することで構成できます(画面4)。

1:低(ホストのリソース使用量が80%を超えると負荷を平準化、既定)

2:中(ホストのリソース使用量が70%を超えると負荷を平準化)

3:高(ホストのリソース使用量が60%を超えると負荷を平準化、ライブマイグレーションの回数増)

画面4
画面4 仮想マシンのノードフェアネスの強度レベルは、Windows PowerShellで変更可能。画面は既定の「1(低)」から「2(中)」に変更したところ

 なお、クラスタがSystem Center Virtual Machine Managerの動的最適化の対象になっている場合は、仮想マシンのノードフェアネスの有効化/無効化の状態に関係なく、System Center Virtual Machine Managerの動的最適化の機能で負荷が平準化されます。

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