「既定のインスタンスのポート番号」を変えたらSQL Serverへアクセスできなくなった(起動トラブル):SQL Serverトラブルシューティング(18)
本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は「既定のインスタンスのポート番号を変えたらSQL Serverへアクセスできなくなってしまった場合の対処方法」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブルについて、「なぜ起こったか」の理由とともに具体的な対処方法を紹介していきます。
トラブル 13(カテゴリー:起動):既定のインスタンスのポート番号を変えたらSQL Serverへアクセスできなくなった
「Windows Server 2012 R2」上に「SQL Server 2016 RTM」をインストールした環境を想定して解説します。
トラブルの実例: 不正アクセスのリスクを低減するために、SQL Serverの「既定のインスタンス」で使用するポート番号を、標準の「1433」から別の番号に変更した。
すると、「SQL Serverへの接続を確立しているときにネットワーク関連またはインスタンス固有のエラーが発生しました。サーバーが見つからないかアクセスできません。インスタンス名が正しいこと、およびSQL Serverがリモート接続を許可するように構成されていることを確認してください。 (provider: TCP Provider, error: 0 - リモート コンピューターによりネットワーク接続が拒否されました。) (Microsoft SQL Server、エラー: 1225)」とエラーメッセージが表示され、アプリケーションサーバからSQL Serverへ接続できなくなった(図13-1)。
もちろん、クライアントが新しいSQL Serverのポート番号を取得できるように「SQL Server Browserサービス」も起動させていたのだが……。
トラブルの原因を探る
本事例では、SQL Server Browerサービスが起動しているにもかかわらず、既定のインスタンスのポート番号を1433から別の番号に変更すると接続できなくなってしまうようです。既定のインスタンスのポート番号を元の1433へ戻すとトラブルは収まりました。
SQL Server Browserの技術情報(*1)をあらためて確認すると、「SQL Server Browserでは既定のインスタンスのポート情報は返されません」と記載されています。SQL Server Browserサービスでは、既定のインスタンスのポート番号はクライアントに返しません。クライアントが変更されたポート番号を把握できない状況となったことがエラーの要因です。
解決方法
このトラブルを解決する方法は、クライアントに「SQL Serverが使用しているポート番号を明記/固定化」することです。前回のトラブルの解決方法と同様に、接続文字列や別名を使用しておけば、クライアントはSQL Server Browserを使わなくても正しいポート番号を把握できます。
この他に、SQL ServerのTCPポート番号が不要な「名前付きパイプ」を使って接続する方法もよいでしょう。
「既定のインスタンスのポート番号を変えたら、SQL Serverへアクセスできなくなった」場合の解決手順
- ポート番号付きの接続文字列や別名を使用する
- 「名前付きパイプ」を使用する
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜 )。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を行っていた。2016年4月よりIoTビジネス開発の担当となり、新しい仕事に奮闘中。ストレッチをして柔らかい身体を手に入れるのが当面の目標。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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