IBM、「Watson」ベースのデータ統合/分析プラットフォーム「Project DataWorks」を発表:あらゆるデータの統合とAIベースの意思決定を可能に
IBMが、「Watson」のAI技術を活用して迅速な意思決定を支援するクラウド型データ統合/分析プラットフォーム「Project DataWorks」を発表した。
米IBMは2016年9月27日(米国時間)、あらゆる種類のデータを統合し、AI(Artificial Intelligence:人工知能)を活用して意思決定を行えるクラウド型データ統合/分析プラットフォーム「Project DataWorks」を発表した。Project DataWorksは、IBMのコグニティブコンピューティングシステム「Watson」をベースに開発が進められている。
昨今、企業活動やビッグデータなどで得られたさまざまなデータを効果的に活用し、新たな知見を得ることが、今後、競争優位に立つための要件の1つとされている。
しかし、「こうした知見を得ようとする取り組みは複雑になりがちだ。大抵の場合、スキルの高いデータ専門家(データサイエンティスト)が、閉じた(特殊な)環境で個別のツールやデータサービスを単体で利用して、分析に必要なデータモデルを構築している。その効果の一方で、企業としての管理/データ統合/ガバナンスの面で課題が残ることがある」とIBMは指摘する。
また、データは動的なものであることから、最新の有意義な知見を得るには、企業はデータモデルやデータプロダクトの作成を継続的に繰り返していく必要がある。多くの場合、この作業は手動で行われている。
Project DataWorksは、あらゆるデータと知見を集約し、企業がこうした課題を克服できるように支援するデータ統合/分析プラットフォーム。データサイエンティストだけでなく、業務部門も含めたあらゆるユーザーが、この統合されたセルフサービス型プラットフォームで連携して作業し、よく使うデータモデルを統制の取れた方法で共有しながら、データプロジェクトやプロダクトの作成を迅速に繰り返していけるようにする。ユーザーは、分析データの準備に時間を費やすのではなく、ビジネスを変革する知見の発見に集中できるという。
Project DataWorksは、IBMのクラウドプラットフォーム「IBM Bluemix」上で利用できる。ユーザーは「Apache Spark」「IBM Watson Analytics」「IBM Data Science Experience」などの環境や技術を活用しながら、企業が以下のことを行えるように設計されている。
- コグニティブ技術に基づく機械学習とApache Sparkを使って、データ資産およびプロダクトのデプロイを自動化する
- あらゆるエンドポイント(企業データベース、IoT、気象、ソーシャルメディアなど)から、50G〜数百Gbps単位の速度で、他の全てのデータプラットフォームより高速にデータを取り込める
- Confluent、Continuum Analytics、Galvanize、Alation、NumFOCUS、RStudio、Skymindなど、20以上のパートナーや技術のオープンエコシステムを利用できる
IBMはProject DataWorksと併せて、こうした先進技術を利用してデータ分析を行うための方法論「The DataFirst Method」も公開している。
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