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Windows 10の「累積的な更新プログラム」の本当のダウンロードサイズは?その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(71)(1/3 ページ)

Windows 10の更新プログラムを個別にダウンロードして適用しようとすると、そのファイルサイズの大きさにびっくりするかもしれません。では、Windows Updateではどうなのか、気になりませんか。筆者が実測してみました。

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Windows 10の累積的な更新プログラムとは?

 @IT読者の皆さんであれば既にご存じとは思いますが、Windows 10の「Windows Update」関連の機能やサービスは、Windows 8.1以前と大きく変わりました。

 Windows 10での大きな変更点の1つは、手動でWindows Updateを開始しても、検出された更新プログラムのダウンロードサイズが全く示されなくなったことです。ダウンロードサイズが示されなくなった理由は、Windows 10のセキュリティおよびセキュリティ以外の更新プログラムが「累積的な更新プログラム」として提供されるように変更されたことにある、と筆者は考えています。

 「Windows Update Agent(WUA)API」を利用すると、最大ダウンロードサイズを取得することが可能です。最大ダウンロードサイズの取得については、Windows 10の登場時に実際に試してみて、筆者の個人ブログで紹介しています。

 このときには考えが及びませんでしたが、最大ダウンロードサイズの取得は、実は意味のないことでした。なぜなら、Windows 10の更新プログラムが「累積的な更新プログラム」だからです。

 累積的な更新プログラムには、基本的に過去にリリースされた全ての累積的な更新プログラムが含まれています。そして、過去の累積的な更新プログラムがインストールされていれば、新しい累積的な更新プログラムとの差分のみがダウンロードされ、インストールされるということになっています。

 Windows 10を新規インストールした場合は、これまでにリリースされた全ての累積的な更新プログラムをインストールする必要はありません。新しい累積的な更新プログラムにより、古い累積的な更新プログラムは置き換えられ、最新の累積的な更新プログラムとその他の重要な更新プログラムをインストールすれば、最新の状態に更新されるのです。

 なお、Windows Updateで提供されるWindows 10用の「Adobe Flash Player」のセキュリティ更新やサービススタック(Windows Update関連のコンポーネント)、ドライバ類は累積的な更新プログラムには含まれません。

 「Windows 10のWindows Updateは強引だ」「トラブルが多い」といった印象を持つ人が多いと思いますが(実は、筆者もその1人)、累積的な更新プログラムの採用は良かったと思います。最近になってWindows 7を新規インストールしたことがある人なら、特にそう思うでしょう。なお、本連載第76回で紹介したように、2016年10月からはWindows 7やWindows 8.1も累積的な更新プログラムへの移行が始まりました。

 累積的な更新プログラムは「Microsoft Updateカタログ」から個別にダウンロードして、インストールすることもできます。

 また、Windows 10とWindows Server 2016向けに提供済みの累積的な更新プログラムについては、以下の「Windows 10の更新履歴(Windows 10 and Windows Server 2016 update history)」サイトで確認できます(日本語サイトは最新情報の反映までにタイムラグがあるため、英語サイトの利用をお勧めします)。

 以下の表1に、2016年10月末までにWindows 10 Anniversary Update(バージョン1607)向けに提供された累積的な更新プログラムと、Microsoft Updateカタログから入手する場合のダウンロードサイズをまとめました。

リリース日(米国時間) KB番号 OSビルド サイズ(x86) サイズ(x64) 備考
2016年8月2日 14393.0 Windows 10 Anniversary Updateの一般提供開始
2016年8月2日 KB3176929 14393.10 24.0MB 32.6MB
2016年8月9日 KB3176495 14393.51 63.7MB 113.0MB
2016年8月16日 KB3176931 14393.67 68.1MB 117.1MB
2016年8月23日 KB3176934 14393.82 145.0MB 263.5MB
2016年8月31日 KB3176938 14393.105 205.9MB 331.8MB
2016年9月13日 KB3189866 14393.187 公開停止 公開停止
2016年9月20日 KB3193494 14393.189 254.8MB 431.3MB KB3189866の修正版
2016年9月29日 KB3194496 14393.222 公開停止 公開停止
2016年10月6日 KB3197356 14393.223 404.5MB 760.6MB KB3194496の修正版
2016年10月11日 KB3194798 14393.321 421.4MB 779.7MB Windows Server 2016の一般提供開始
2016年10月27日 KB3197954 14393.351 443.6MB 827.4MB
表1 Windows 10 バージョン1607向けにこれまでにリリースされた累積的な更新プログラム(2016年10月末現在)。64ビット版の累積的な更新プログラムはWindows Server 2016と共通

 64ビット版は年内にも1GBを超えそうな勢いです。ちなみに、2016年10月末時点における、Windows 10 バージョン1511向けの最新の累積的な更新プログラムのサイズは、64ビット版で989.9MB、Windows 10初期リリース向けは64ビット版で1034.0MBになっています。Windows Updateにこのサイズを示してしまうと、ユーザーはびっくりするに違いありません。

 なお、KB3194496の問題を修正したKB3197356は予定外だったからでしょう。KB3194798およびKB3197954にはKB3197356ではなく、KB3194496が含まれています。そのため、2016年10月末時点でWindows 10やWindows Server 2016を新規インストールした場合、最初のWindows UpdateでKB3197356と最新のKB319795の2つの累積な更新プログラムが検出、インストールされる状況になっています。今後の累積的な更新プログラムにおいては、KB3194496ではなく、KB3197356が統合され、1つの累積的な更新プログラムで済むようになるはずです。

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