デジタルビジネス時代、「勝てるITインフラ」の必要3要件とは:レガシーなITインフラでは、もはやビジネスを支えられない
テクノロジの力を使って価値を生み出す「デジタルトランスフォーメーション」が進展し、ITインフラには、スピーディなビジネス展開を支える一層の俊敏性、柔軟性が求められている。だが多くの企業では、コスト/運用効率の向上を求めて仮想化、クラウドを導入しながら、システムの複雑化に悩まされ、かえって運用管理負荷・コストが増大しているケースが多い。ではデジタルビジネスの競争が激化している中で、短期間で「差別化に寄与するインフラ」に刷新するためにはどうすればよいのだろうか?
デジタルトランスフォーメーションの進展で、ITインフラにはスピードと柔軟性が不可欠に
テクノロジの力を使って新しいビジネス価値を生み出す「デジタルトランスフォーメーション」が各業種で活発化している。その波は、例えばUberのように業界構造を一変させたスタートアップ企業に限らず、製造、金融をはじめ、各業種の大企業にも及んでいる。
ニュータニックス・ジャパンでシニアシステムズエンジニアリングマネージャーを務める露峰光氏は、「何かにつけ『日本企業はトレンドに対して遅れがち』といったイメージもあるものだが、日ごろさまざまな企業と接していると、デジタルトランスフォーメーションを真剣に考え始めている日本企業は決して少なくない。IoTを活用しようと考える製造業や、FinTechに注目する金融業など、業種を問わずその動きが進んでいる。また、デジタルトランスフォーメーションという言葉は使わなくても、ビジネスにより貢献できるIT環境の構築を目指す企業は多い」と述べる。
だが周知の通り、ニーズの変化が激しいデジタルビジネスでは、「サービスを実現するアプリケーションをいかにスピーディにリリース・改善していけるか」がビジネス成功の鍵を握る。ただ、そうしたアプリケーションを運用する上では、従来型のインフラとは異なる要件が求められる。
ユーザーの人気が爆発すれば、アクセスが激増するかもしれない。IoTデバイスから多種多量のデータを収集・蓄積し、分析などに活用する必要に迫られるかもしれない。つまりデジタルビジネスを支えるアプリケーションは、ある程度、負荷を予想できた従来型アプリケーションとは異なり、ワークロードの予測が非常に難しい。だが変化に追随できなければ、ビジネスチャンスを逃したり信頼失墜を招いたりすることになる。「5年後のピークを予測してシステムを組むという今までのやり方ではうまくいかない。必要に応じて簡単にインフラを足したり、引いたりといったことができなければならない」(露峰氏)。
ただニーズの変化が速い近年、新規領域のデジタルビジネスに限らず、既存業務においても一層のスピードと柔軟性が求められていることは言うまでもない。これを受けて、サーバ仮想化やプライベートクラウドを導入したが、インフラが複雑化してかえって運用管理コスト/負荷が高まっている、障害時に問題原因の特定・復旧が遅れてしまう、といった課題に悩んでいる企業は多い。だがデジタルトランスフォーメーションに象徴されるように、現在は「ビジネス展開のスピードとIT活用の在り方」が収益・ブランドを左右する時代だ。もはや仮想化、クラウドに翻弄されることは許されず、そのメリットを確実に引き出せる“インフラの仕組みと運用スタイル”へと早急に刷新する必要があるのだ。
“パブリッククラウド並みの利便性”を短時間で容易に入手できる「Nutanix Enterprise Cloud Platform」
では、状況に応じてスピーディかつシンプルにインフラを整備・拡張できるようにするためにはどうすればよいのだろうか? 言うまでもなく、サーバ、ストレージ、仮想化といった構成要素を個別に組み合わせる従来のやり方では、その実現は困難だ。そこで「俊敏・柔軟なインフラをシンプルに導入・管理したい」というニーズに応えて生まれてきたのが、インフラの構成要素を1台のアプライアンスにまとめた「ハイパーコンバージドインフラ」だ。
周知の通り、サーバ、ストレージ、仮想化を組み合わせて「検証済みの環境として提供」する「コンバージドインフラ」もあるが、ハイパーコンバージドインフラは専用ストレージ装置を持たず、ストレージソフトウェアを使う点が大きな違いだ。このため「サーバを追加するたけで容量とパフォーマンスを拡張できる」「専用の運用管理ソフトと併せて提供される」など、インフラ運用を一層手軽にする。
この製品分野をリードしてきたニュータニックスでは、仮想化機能と運用管理機能をビルトインした統合アプライアンス「Nutanix Enterprise Cloud Platform」(以下、Nutanix)を提供している。
インフラに必要なコンポーネントを検証済みの形で提供するため、「機器が到着したら、ネットワークにつないで電源を入れるだけで導入できる」のはもちろんとして、Nutanixならではの3つの特長がある。
1つは、分散ストレージ機能と仮想マシン管理機能を持つソフトウェア「Acropolis」によって柔軟かつ効率良くインフラを拡張できること。Acropolisによってサーバに内蔵されているSSDやHDDを束ねてストレージプールを作り、仮想的に共有ストレージとして機能させる仕組みだが、「Distributed Storage Fabric」と呼ぶ、Software-definedな分散型ストレージシステムを採用。これにより、ハードウェア筐体を追加するだけで、無停止、かつディスク使用率などの面でも効率の良い状態で、ストレージを簡単にスケールアウトできる。
「コンバージドインフラも含め、これまでのインフラでは拡張が困難なことから、最初から5年後を見越してオーバースペックの機器を導入するのが常だった。ハイパーコンバージドインフラはそれを解決し、スモールスタートで始めて、状況に応じて柔軟に、コスト効率良くリソースを追加していくことができる」
この他、データ圧縮/重複排除、スナップショット、SSDとHDDの自動階層化機能など、専用ストレージ装置並みの機能を持つこともポイントだ。また、仮想マシンデータを「仮想マシンが稼働するノードのSSD/HDD」に優先的に配備することによって、ReadIOがネットワークを経由しない仕組みとすることで、自動階層化との組み合わせによって、高いIOパフォーマンスを提供するという。
図2 「Distributed Storage Fabric」と呼ぶ、Software-definedな分散型ストレージシステムを採用しており、効率良く柔軟にストレージを拡張できる。自動階層化との組み合わせによって、高いIOパフォーマンスを提供する
無論、こうした“柔軟なインフラ”はパブリッククラウドで“利用”するという選択肢もある。だがコストやセキュリティポリシー、またアプリケーションの特性や重要度によっては、オンプレミスで持つべきものも存在する以上、全てのシステムをパブリッククラウドに移行できるわけではない。かといって、オンプレミスにプライベートクラウドを築くにしても、相応のスキル、時間、予算が必要だ。その点、Nutanixは“パブリッククラウドと同等の利便性”を、短時間で、必要な規模だけ導入し、すぐに使い始められる、拡張できるというわけだ。
ビジネスの状況に応じて「インフラを自由に選べるオープン性」を担保
2つ目の特長はマルチハイパーバイザーに対応していること。VMware vSphere、Microsoft Hyper-V、またKVMをベースにしたニュータニックス独自のオープンソースのハイパーバイザー「AHV(Acropolis Hypervisor)」といった複数のハイパーバイザーをサポートする。これによって、「ベンダロックインから解放されたインフラ」の実現を目指している。
前述のように、アプリケーションを効率良く運用する上では、「ミッションクリティカルなものはオンプレミスで、そうでないものはパブリッククラウドで」といったような、アプリケーションの重要度や特性に応じたインフラの使い分けがポイントになる。セキュリティやガバナンスの観点でもインフラの使い分けは不可欠だ。実際、企業インフラの主流は、パブリッククラウドとオンプレミスのサーバ仮想化環境、もしくはプライベートクラウドを組み合わせたハイブリッド環境に移行しつつある。
ただ、ハイブリッド環境のメリットをフルに生かすには、ハイパーバイザーなどに縛られることなく、アプリケーションを自由に移せるモビリティの担保が不可欠となる。オンプレミスで運用してきたアプリケーションをクラウドに移す、オンプレミスに戻すといった際、いちいち改修が求められるようではビジネス展開のスピードもコスト効率も大幅に阻害されてしまうためだ。
「最初はパブリッククラウド上でスモールスタートし、サービスが発展してきたら、コスト効率に優れたプライベートクラウドに移行したい、といったニーズもある。そうしたとき、いかに迅速・簡単にアプリケーションを移行できるかが鍵になる。また、パブリッククラウドにはクラウドベンダーにアプリケーションがロックインされるリスクもある。この点でも全てをパブリッククラウドに頼るわけにはいかない」
同社では、今後もコンテナ技術のサポート、マイクロセグメンテーション、オブジェクトストレージといった要素を追加していくことで、アプリケーションのモビリティと、パブリッククラウド同等の利便性を、さらに強化していくという。
標準化・自動化により、インフラ運用の俊敏性・確実性を担保
そして3つ目は専用の運用管理ソフトウェア「Prism」により、「シンプル、かつ、簡単に運用できる」こと。前述のように、仮想化、クラウドの導入により、インフラが複雑化・大規模化している中で、俊敏性・柔軟性を担保することは難しい。事実、運用手順が属人化していたり、手順が複雑で人的ミスを誘発したりと、既存インフラの運用効率に悩んできた企業は多い。部門やアプリケーションごとにシステムがサイロ化しており、運用管理プロセスもバラバラであるなど、社内システムを一元管理できていないことは、運用管理コストやセキュリティ面にも悪影響を及ぼす。
加えて、サーバ、ストレージなど、構成要素ごとに専任の管理担当者が置かれ、それぞれ個別に運用する従来のスタイルでは、システムのアップデートや拡張の際に、さまざまな調整・確認作業が発生する。障害発生時も、システムの全体構成を把握できていなければ、どうしても問題原因特定に時間がかかってしまう。
これに対し、Nutanixでは「一元的に効率良く管理できるインフラ」を実現する。具体的には、Prismにより、仮想環境の可視化、パフォーマンス管理、キャパシティ管理機能などを提供し、異なるハイパーザイザーによる複数の仮想環境も一元管理できる。仮想マシン形式ごとに検索する、特定の仮想マシン名で検索して障害原因を迅速に特定するといったことが可能だ。キャパシティ管理は将来予測機能も実装し、ワークロードの増大にプロアクティブに対応できる。
必要な仮想インフラのプロビジョニングを、ユーザーがセルフサービスで行える自動化機能も提供する予定だ。ハイパーバイザー間でのディサスタリカバリ、バックアップなどもワンクリックで自動的に行える。これらもまさに“パブリッククラウドと同等の利便性”といえるだろう。
露峰氏は「俊敏・柔軟なインフラを実現する上では、運用手順の標準化・自動化が重要」と指摘する。インフラの俊敏性・柔軟性を担保する上では、「インフラの仕組み」だけではなく、運用プロセスの標準化・自動化によって、“運用管理スタイルも含めて”シンプルにすることが不可欠なのだ。
ちなみに、同社では以上のような「柔軟な拡張性」「アプリケーションポータビリティによるオープン性の担保」「自動化機能」などを担保した“真の意味でパブリッククラウド同等の利便性を持つ環境”を、「ハイパーコンバージドインフラ」をさらに進化させたものとして、「エンタープライズクラウド」と呼んでいる。
「デジタルビジネス時代の運用スタイル」へのモダナイズを、短時間で、簡単に
これまで多くの日本企業において、「ITは既存業務の効率化やコスト削減の手段」と目されてきた。だがITのパフォーマンスがビジネスのパフォーマンスに直結している現在、ITは変化が激しい市場環境の中で、収益・ブランドを向上させる「攻めの手段」となっている。
従って、インフラと運用管理スタイルも、そうした目的にかなったものであることが求められるが、仮想化、クラウドという“動的なインフラ”を導入しても、運用管理は従来のままであるがゆえに、使いこなせなかったり、かえって負荷が高まったりしている例がいまだに多い。また、運用管理手順を標準化・自動化しようにも、既存の手順の棚卸しや効率化、監視システムの刷新、場合によってはシステム設計自体の見直しなども求められ、一朝一夕にはできないのが現実だ。
その点、ニュータニックスの“エンタープライズクラウド”は、「デジタルビジネス時代に即したインフラの仕組みと運用スタイル」へのモダナイズを、短時間かつ合理的なコストで強力に後押ししてくれる。事実、IoTやX-Techなど、デジタルビジネス運営企業はもちろんとして、「仮想化、クラウドで複雑化したインフラ運用を効率化するために、システム更改のタイミングでNutanixを導入し、システムと運用の仕組みを刷新する例も数多くある」という。
「これまでIT予算のほとんどはインフラの運用管理など、既存システムの維持のために使われており、イノベーティブな領域への投資は限定的だった。だが、新しいインフラを採用し、構築期間を短縮し、運用管理を標準化・自動化することによって、既存システム維持のためだけに費やしてきた予算を、収益・ブランド向上に資する領域にシフトすることができる。弊社としてはNutanixを通じて、ビジネスの推進を真の意味で支援していきたい」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連リンク
提供:ニュータニックス・ジャパン合同会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年1月31日