マイクロソフトとシトリックスが進める「Citrix as a Service」の状況とは:「Windows 10 on Azure」を実現
マイクロソフトがシトリックスとの協業の進捗を告知。クラウドや「Office 365」「Windows 10」への移行の加速とモバイルデバイスユーザーの支援の強化に重点を置き、VDI経由でAzureにホストしたWindows 10のOSイメージを実行する「Windows 10 on Azure」も実現する。
米マイクロソフトは2017年1月9日(米国時間)、米シトリックス・システムズ(以下、シトリックス)の年次イベント「Citrix Summit 2017」の開催に合わせ、同社との協業の進展を説明した。
長年協力関係にある両社は、2016年5月に戦略的提携の拡大を発表し、企業へのクラウド、および「Office 365」「Windows 10」への移行と、モバイルデバイスユーザーの支援の強化に重点を置いて協業を進めてきた。
マイクロソフトは、この協業は、顧客の期待が高い「ユーザーの生産性向上」「企業データの安全性向上」「IT業務の効率化」というメリットを提供していると述べ、協業の取り組みの具体例を重点分野ごとに説明した。
クラウドへの移行の加速
マイクロソフトは、「企業は、パブリッククラウドへの移行によって得られる財務的メリットとアジリティ(俊敏性)に着目しており、クラウドへの移行は加速度的に進んでいる」と現状を述べる。シトリックスの顧客からは、同社のソリューションをクラウドサービスとして提供する「Citrix as a Service」への期待が高いという。
シトリックスは同日、「Microsoft Azure」でホストされる同社の仮想デスクトップ(VDI)ソフトウェア「XenDesktop Essentials」、仮想アプリケーションソフトウェア「XenApp Essentials」のアップデートを発表。シトリックスは、オンプレミスおよびクラウド上のCitrixソリューションの管理を可能にする(Azureにホストされる)共通コントロールプレーンを提供する。これにより、XenDesktop経由で、AzureにホストしたWindows 10のOSイメージを実行できるようになる。顧客は、自社でホストしているデスクトップ/アプリケーションを独自のペースでAzureへ移行でき、それらを1カ所で1つの方法で管理できるようになることを利点に挙げる。
Office 365への移行の加速
マイクロソフトは、「Office 365は、月間アクティブ商用ユーザーが8500万人以上に達した。世界で最も利用されているエンタープライズクラウドサービスの1つ」と説明。電子メールやコラボレーションのクラウドへの移行に加え、「Skype for Business」を利用した音声およびビデオ会議の移行も進んでいるという。
このうちSkype for Businessは、Citrix XenApp/Desktop環境(オンプレミスと、Azureでホストされる新しいCitrixサービスの両方)に最適化される。これらは、Skype for Businessが最適化されている2017年1月現在、唯一のデスクトップ/アプリケーションリモーティングソリューションだとしている。
Windows 10への移行の加速
マイクロソフトは、企業内クライアントのWindows 10への移行支援を加速させている。2017年1月現在、Windows 10で稼働するデバイスは4億台以上に達したとし、Windows 10への移行ペースは、これまでのWindows OSの中で最も早いという。
シトリックスは同日、「AppDNA」をリリースした。AppDNAは、Windows 10に対して互換性の問題があるアプリケーションを素早く特定する方法を提供するソフトウェア。AppDNAを使うことで、企業は社内での検証をはじめとする移行工数を減らすことができ、Windows 10へのアップグレードプロセスをより早く実践できるようになるという。
モバイルデバイスユーザーの支援の強化
エンドポイントセキュリティ対策製品である「Microsoft Enterprise Mobility + Security(EMS)」は、2017年1月現在、既に3万7000以上の企業顧客を抱え、市場で最大規模のEMM(Enterprise Mobility Management)製品に成長したという。
これと協調し、シトリックスは「Citrix NetScaler」を「Microsoft Intune」とシームレスに相互運用できるようにするツールの一般提供を開始した。NetScalerと同ツールにより、デバイスがオンプレミスリソースにアクセスしようとすると、デバイスが既知であることと、Intuneで規定されている登録/コンプライアンス要件を満たしていることを確認した上で、VPNセッションの確立を許可するよう制御できる。
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