「あるタイミングから」処理が遅くなり、再起動しても再現されてしまう(パフォーマンストラブル):SQL Serverトラブルシューティング(50)(2/2 ページ)
本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は、「あるタイミングで処理遅延が発生し、それが継続して発生するようになってしまった場合の対処例」を解説します。
解決方法
原因だった「統計情報の問題」を解決するには、「統計情報の更新」が必要です。今回はどのSQL文で問題が発生したかを判断できたので、参照しているテーブルと、それにひも付く全ての統計情報を更新することで処理遅延が解消されました。
ちなみに今回は、原因の特定までに「トレースの採取」と「実行プランの分析」を行っています。統計情報を更新すべきテーブルまでを絞り込むことができたので、結果として解決までの時間を短縮できました。
その一方で、緊急対処を望まれつつも、プランの確認に時間がかかることが判明した場合や、その場にプラン分析のスキルを持つ技術者がいなかった場合には、「データベース内の全ての統計情報を更新する」ことでも対処が可能です。その際には、以下のことに気を付けてください。
- 統計情報の更新には時間を要する
- 統計情報の更新によって、もともと適切な統計情報で動いていたものが逆に非効率になってしまう可能性がある
この2つのデメリットと「遅延が解消されるかもしれない可能性」から、どちらにするかを判断してください。
統計情報を更新するコマンドの書式は以下の通りです。
UPDATE STATISTICS テーブル名;
併せて、「sp_updatestats」ストアドプロシージャを使うことで、データベース内全ての統計情報を更新できます。
EXEC sp_updatestats;
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2016年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「SQL Server 2016」に搭載される新たなセキュリティ対策を追う
パブリックプレビューが公開されているマイクロソフトのRDB次期版「SQL Server 2016」。特徴の1つとするセキュリティ対策機能のポイントと目指すところをキーパーソンに聞いた。 - そもそも、リレーショナルデータベースとは何か?
データベースを基礎から勉強し理解を深めていくことは簡単なことではありません。本連載では、データベースに対するハードルを少しでも低くするために、初心者の方に必要なデータベースの基本から、障害対策やチューニングといった実践に即した内容までを幅広く解説していきます。今回は、データベースの役割と、それを管理するソフトウェアであるDBMSの基本機能について解説します。【更新】 - データの登録を行うINSERT文
- 複数の条件を指定してSELECT文を実行する
前回は、SELECT文の初歩の初歩を解説しました。今回は、複数の条件を指定して、目的のデータを取り出す方法を解説します(編集部) - Oracle運用の基本「ログ」を理解しよう
本連載では、Oracle Database運用の鍵となるトラブル対処法について紹介していきます。第1回、第2回では情報収集の要となるログについて見ていきます。ログの出力情報は10gと11gとでは大きく異なる点がありますので、それぞれについても確認しておきましょう。