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「LinuxONEならサーバ導入/買い換え時のトータルコストは下げられる」その大きな4つの技術的理由TCO試算のスペシャリストが明かす

通常、サーバの導入/買い換えに当たっては、ハードウェアからソフトウェア、ネットワーク、ストレージ、さらには人件費まで含めて、非常に大きなトータルコストが発生し、IT管理者にとって悩みの種となっている。だが、メインフレームとオープンシステムのメリットを“いいとこどり”しているLinuxサーバ「LinuxONE」を活用することで、サーバ導入/買い換えに伴うトータルコストを大幅に削減できるという。その技術的根拠についてTCO試算のスペシャリストに聞いた。

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 通常、サーバの導入/買い換えに当たっては、ハードウェアからソフトウェア、ネットワーク、ストレージ、さらには人件費まで含めて、非常に大きなトータルコストが発生し、IT管理者にとって悩みの種となっている。こうした中、日本IBMが提供するエンタープライズ向けLinuxサーバの「IBM LinuxONE」(以下、LinuxONE)を活用することで、サーバ導入/買い換えに伴うトータルコストを大幅に削減できると注目が集まっている。

 では、LinuxONEは、従来のサーバシステムとは何が違うのか。どうやってトータルコストを下げることができるのか。その技術的根拠について、「ITの経済性評価」を基本的には無料で行うEagle TCO Studyを担当する、日本IBM ソフトウェア事業 IBM Eagleチーム ITエコノミクスアナリスト 担当技術部長の芳尾俊英氏に聞いた。

メインフレームとOSSの“いいとこどり”でTCOを下げる、LinuxONEとは


日本IBM ソフトウェア事業 IBM Eagleチーム ITエコノミクスアナリスト 担当技術部長 芳尾俊英氏

 LinuxONEは、日本IBMが2015年に提供を開始したエンタープライズ向けのハイエンドLinuxサーバだ。その大きな特長は、メインフレームとオープンシステムのメリットを“いいとこどり”している点にある。「IBMのメインフレームは、半世紀にわたる長い歴史の中で世界中のお客さまからの品質改善、機能追加などの要望を取り入れながら、常に最新技術を投入し、基幹システムの理想形を目指して機能改善を繰り返してきた。いわば、お客さまとの共創で進化してきた“究極のシステム”といえる。LinuxONEは、このIBMメインフレームで培ってきたテクノロジーをベースに、クラウドやアナリティクスにおいて重要なオープンソースソフトウェア(OSS)を組み合わせることで、企業向け最強Linuxサーバを実現した」と、芳尾氏は説明する。

 LinuxONEの製品ラインアップとしては、大規模システム向けの「Emperor」と中規模システム向けの「Rockhopper」の2種類を展開している。主なスペックは、1コア当たり最大動作周波数5.0GHzの高性能プロセッサを採用し、Emperorは最大141コア、Rockhopperは最大20コアを搭載することが可能。ユーザーメモリは、Emperorで最大約10TB、Rockhopperで最大約4TBの大容量RAIM(Redundant Array of Memory)メモリを搭載できる。またマイクロコードによる仮想化機構(LPAR:論理区画)を標準搭載し、最大85の仮想環境を稼働可能である。さらにソフトウェアによる仮想化機能(z/VMまたはKVM)を組み合わせることにより数百〜数千の仮想サーバを稼働できるという。

 セキュリティ機能では、高性能の暗号化コプロセッサを標準搭載するとともに、最新暗号アルゴリズムの高速処理に対応した専用カード「Crypto Express5S」を追加することも可能だ。また、ほぼ全てのハードウェア要素が二重化された冗長構成のため、ハードウェア障害によるサービス停止のリスクを極限まで排除している。ハードウェアとマイクロコードの機能により、万が一、プログラムの実行中にプロセッサ障害が起こっても、プログラムやOSに全く影響を与えることなく、自動的にスペアプロセッサに切り替わるという。

 そして、この高性能ハードウェアの上に、OSSを自由に組み合わせられるのがLinuxONEの大きな特長だ。Linuxディストリビューションとしては、SUSE、Red Hat、Ubuntuが使用可能で、ソースコードの97.5%は他プラットフォームで稼働するLinuxと共通化されているため、Linux/UNIXアプリケーションに対する高い互換性を備えている。「LinuxONEは、OSSを積極的にサポートし、Apache Spark、PostgreSQL、Chef、Dockerなどの最新OSSを、お客さまのニーズに合わせて柔軟に選択できる」とメッセージを伝えた。


LinuxONEで稼働するLinux

 ここまで、LinuxONEの性能・機能面についてチェックしてきた。ここからは、これらがどのようにTCO削減につながっていくのかに焦点を当てる。

【1】50年にわたり培われた仮想化技術によるCPUワークロードの最適化

 まず芳尾氏は、「LinuxONEのハードウェアと仮想化技術によって、統合サーバにおけるCPUのワークロードを最適化できる」と指摘する。サーバ導入/買い換え時の選択肢として、社内に分散しているサーバを統合するケースがある。これは、分散型サーバは一般的に、個々のサーバのリソース(CPUなど)使用効率はそれほど高くなく、またおのおののワークロードのピーク特性が分散する傾向があるため、多くのサーバ(ワークロード)を統合した場合、統合サーバは、個別サーバを並べるよりも効率的にリソースが活用できるというメリットがあるからだ。

 しかし、実際にサーバ統合を行おうとした際、x86サーバではCPUの処理に大きな問題が生じてくる。統合サーバは、仮想化環境上でさまざまなCPUのワークロードを同時並行的に処理することになるが、このワークロードの切り替え時(コンテキストスイッチング)にオーバーヘッドが発生する。x86サーバの場合、同時実行プロセスが増え、個々のプロセスの使用メモリ(ワーキングセットサイズ)が大きくなればなるほど、オーバーヘッドも飛躍的に増大し、処理性能の大幅な低下を招いてしまう。


x86サーバとLinuxONEのワークロード切り替えのオーバーヘッド

 これに対してLinuxONEは、メインフレームの技術をベースにしているため、同時並行処理に強く、同時実行プロセスが増え、ワーキングセットサイズが大きくなっても、オーバーヘッドはそれほど増大することがなく、性能劣化を防ぐことが可能だ。


LinuxONEが持つ高精度の仮想化技術優先度に応じたリソース提供が可能(注:数値はIBM社内の検証環境における実測結果から)

 さらに、高精度の仮想化技術によって、優先度に応じたワークロード管理を実現している点も見逃せない。x86サーバの仮想化環境では、複数のワークロードを同時並行処理する場合、優先度の低いワークロードにリソースが奪われ、スループットの低下や応答時間の増加、CPU時間の浪費が発生する。この点もLinuxONEであれば、ワークロードの優先度に応じて最適にリソースが使われるため、スループットや応答時間、CPU時間に全く影響を与えることがない。

 芳尾氏は、サーバ統合時のワークロード最適化によるTCO削減メリットを次のように訴える。「LinuxONEは、1コア当たりの処理能力が高いことに加えてワークロードの最適化によって、統合サーバのCPUリソースをフル活用できるため、コア数を抑えながら、高性能を発揮できる。一方、x86サーバは、処理性能を高めるためには統合するワークロードを適切な単位に分けて、おのおのに専有コアを割り当てるなどの設計を考慮する必要がある。結果、必要なコア数が増えていくことになる。Linux環境でのミドルウェアのライセンスや保守は、コア数に依存するものが多いため、ここでライセンスコストや保守料金に大きな差が出て来る」

【2】Oracle Database製品のソフトウェアライセンスコストを削減できる

 LinuxONEで商用データベース製品を使用する場合はどうだろうか? 企業のサーバ環境でOSS利用が増加しているとはいえ、企業システムの根幹部分でOracle Databaseが使用されているケースも多い。芳尾氏は、「Oracle Databaseの統合環境において、LinuxONEは大きなTCO削減メリットが得られる」と説明する。

 LinuxONEは、Oracle Database製品が動作する仮想化ソリューションであることが、Oracleから保証されている。「そのため、お客さまは安心して、Oracle Databaseを仮想化統合環境の上で利用できる」。これに加えて、LinuxONEのLPARによる仮想化環境は、Oracleのパーティショニングガイド上、物理分割と同様のHard Partitioningとして分類されている。他社の仮想化ソリューションでは論理分割と見なされ、Oracle Databaseが稼働している仮想環境のコアの数だけではなく、統合サーバに物理的に搭載されている全コア数分の、Oracle Databaseのライセンスが必要になる場合がある。「LinuxONEでは、Oracle Databaseが動作しているLPARで使用しているコアに応じた数だけライセンスを購入すればよいことになる」

 例えば、1CPU(4コア)搭載のx86サーバで、3台構成の仮想化統合環境上でOracle Databaseを利用する場合、Oracle Databaseのライセンス数は、4コア×3台×0.5(コア係数)の6ライセンスが必要になる。一方、LinuxONEでは、3区画のLPARで3コアを共有する仮想化統合環境上でOracle Databaseを利用する場合、3コア×1.0(コア係数)の3ライセンスとなる。同等の仮想化統合環境で、Oracle Databaseのライセンス数を半分にまで削減できるのである。小規模なワークロードが多数に分散しているシステム環境では、さらに集約効果が高まる。x86サーバで上記と同等の構成を3拠点に展開しかつ全体の処理負荷合計は上記の3分の2の場合を考えてみる。x86サーバケースでは、単純計算で18ライセンス必要になるが、LinuxONEでは、3拠点のシステムを全て仮想化統合し、9区画のLPARで2コアを共有することで、ライセンス数をわずか2つに抑えることができる。


ライセンス優位性

 この結果として、Oracle Databaseの初期ライセンスコストと保守ライセンスコストを大幅に低減でき、TCOの削減にも大きく貢献することになる。実際、ある国内企業では、業務ごとにサイロ化して使用していたDBサーバを、LinuxONEによって統合したことで、Oracle Databaseの保守ライセンスコストの大幅削減を実現したケースがあるという。

【3】仮想環境の通信がセキュアで高速化。専用ハードウェアとその保守コストを削減

 さらに、「LinuxONEのネットワーク形態も、TCO削減をもたらす技術的要素になっている」と芳尾氏は続けた。

 LinuxONEの仮想化環境では、LPAR間の内部通信を「HiperSockets」という高速な仮想ネットワークで接続している。これにより、ネットワークトラフィックが物理的に外部に出ることがなく、メモリ間で全ての通信が行われるため、セキュアかつ超高速なネットワーク環境が実現できる。情報漏えい防止のために、外部に暗号化装置を設置する手間やコストも削減できる。「あるお客さまの実測例では、バッチサーバとDBサーバ間のネットワークをHiperSocketsに変えただけで、処理時間が約3割短縮したケースもあり、システムパフォーマンスの改善が業務の効率化やビジネススピードの向上にもつながっている」


ネットワーク仮想化によるシンプルな構成(障害箇所を減らし、運用も楽に)

 また、外部LANと接続する場合は、高速ネットワークアダプタ(NICに相当)のOSA-Expressを各LPAR間で共用することができ、これがスイッチポート数とケーブル数の削減に大きく貢献するという。具体的な例を挙げると、8台のLinuxサーバでNICを共用し冗長化を行う場合、分散型サーバでは、スイッチポートが16ポート、ケーブルも16本必要になる。これをLinuxONEの統合サーバにすれば、スイッチポートは2ポート、ケーブルは2本あれば済んでしまう。この結果、ケーブル障害の発生確率、スイッチの初期費用、さらには監視にかかる手間を全て8分の1に軽減でき、TCO削減に貢献することになる。

【4】ライフサイクルは10年以上。システム変更にも柔軟に対応し、長期間使える

 この他、LinuxONEは、ライフサイクルの面でも、大きなコストメリットが見込めるという。一般的なx86サーバのライフサイクルが約3年といわれる中で、LinuxONEのライフサイクルは実質的に10年以上と長期間だ。ライフサイクルが短いと、それだけシステム移行の作業が頻繁に発生することになり、そのたびに多大なコストがかかってくるが、LinuxONEではこのコストを極小化できる。

 システム変更が必要になった場合にも、LinuxONEであれば、開発からテスト、本番、バージョンアップなど、プロジェクトフェーズに合わせてLPARの区画を変更・追加し、リソースの柔軟な対応と有効活用が可能となっている。新たなハードウェアを追加する必要性も少なく、この点でもTCO削減効果は大きいといえよう。


システム変更への柔軟な対応

 最後に芳尾氏は、可用性という観点から、LinuxONEのTCO削減メリットについて、次のように訴えた。

 「x86サーバでは、冗長構成を作る場合、システムを2台分用意する必要がある。これに対して、LinuxONEは、標準でハードウェア要素が冗長化されているため、この部分のコストをカットできる。さらに、個々の構成要素に物理障害が発生した際のハードウェア交換をコンカレントに行えるという特長がある。そのため、従来のような、ハードウェア交換作業における一連の対応(各部署に連絡を実施、サービスの停止、技術者の立ち会い、交換後のサービス再開と関係部署への報告など)に伴う作業負荷と人的コストをほぼ全て削減できる」

米国の政府関連機関でLinuxONE Emperorへのサーバ統合により、TCOを50%削減

 LinuxONEによる具体的なTCO削減効果の例としては、分散システムで使用しているx86サーバ39台(396コア)を、LinuxONE Emperor1台(17コア)に集約することを検討し TCOを50%削減可能とした米国の政府関連機関のケースがある。これについては、記事「サーバ導入/買い換えに伴うトータルコストは人的コスト含め試算できる――ITの経済性評価が行える無料サービスとは」を参照してほしい。

 サーバ導入/買い換えに当たり、トータルコストの問題に直面している企業は、高性能・高信頼・高可用性を兼ね備え、サーバ統合によるTCO削減効果も期待できるLinuxONEの導入を検討してみてはいかがだろうか。

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提供:日本アイ・ビー・エム株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2017年6月30日

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