すぐに終了するはずの処理が、急に「いつまでたっても」終わらなくなった(パフォーマンストラブル):SQL Serverトラブルシューティング(52)(2/2 ページ)
本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は、「ある処理が終わらない場合の発生例と対処方法」を解説します。
解決方法
ロック待ちによって処理が止まっていたならば、ロック元となっている処理の状況を確認し、それを開放することで解決できます。
まず、DMVでロック元であるsession_id「51」の接続情報を「dm_exec_sessions」を実行して調べます(図2)。
図2で、session_id「51」は「WIN2012R2NODE1」というホストで、「SQL Server Management Studio」から実行されている処理であることを確認できました。SQL Server Management Studioは、SQL ServerやAzure SQL Database用コンポーネントの管理・開発環境です。本システムの本番環境では必要のないものですが、「試験的に実行していた処理が、途中で放置されていた」ようです。この処理のロックを開放したところ、遅延がすっきりと解消されました。
ちなみに今回の事例では1アクションですぐに主因が分かりましたが、ロック元の処理自体“も”処理遅延が発生している状況は多くあります。この場合には、そのロック元の処理に対しても引き続き遅延の原因を追及していくことで主因を見つけ出します。また、ロック元の処理よりもロック待ちになっている処理を早急に何とかする必要があるならば、ロック元の処理をまずは「強制終了」させてしまうのも選択肢の1つです。どの対処が最良か、状況に応じて選択するようにしてください。
「すぐに終了するはずの処理が、いつまでたっても終わらなくなった」場合の対策手順
- 「dm_exec_requests」で処理が中断している原因を確認する
- 「dm_tran_locks」でロック状況を確認する
- 「dm_exec_sessions」でロック元の情報を確認し、必要に応じて調査や強制終了を実施する
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2016年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
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