【 mtr 】コマンド――ネットワークの経路と応答を調べる:Linux基本コマンドTips(145)
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、通信相手までの経路と応答を調べる「mtr」コマンドです。
本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、通信相手までの経路と応答を調べる「mtr」コマンドです。
mtrマンドとは?
ネットワークの経路と応答を調べます。いわば、「pingコマンド」(第143回参照)と「tracerouteコマンド」(第144回参照)を兼ね備えたコマンドです。
mtrコマンドの書式
mtr [オプション] 通信相手
※[ ]は省略可能な引数を示しています。
mtrの主なオプション(テスト方法)
短いオプション | 長いオプション | 意味 |
---|---|---|
-4 | IPv4を使用する | |
-6 | IPv6を使用する | |
-u | --udp | UDPを使用する(デフォルトはICMP) |
-T | --tcp | TCPを使用する(デフォルトはICMP) |
-P ポート番号 | --port ポート番号 | TCPで使用するポート番号を指定する |
-Z 秒数 | --timeout 秒数 | TCPコネクションを保持する秒数 |
-e | --mpls | ICMP拡張(RFC 4950)を使用する |
-c 回数 | --report-cycles 回数 | テストする回数を指定する |
-n | --no-dns | 名前解決を行わない |
-b | --show-ips | IPアドレスとホスト名の両方を表示する |
-s バイト数 | --psize バイト数 | テストに使用するパケットのサイズを指定する |
-a IPアドレス | --address IPアドレス | 送出に使用するインタフェースをIPアドレスで指定する |
-i 秒数 | --interval 秒数 | 信号を送る間隔を指定する(デフォルトは1秒) |
-m TTL | --max-ttl TTL | 最大のホップ数(Max Time-To-Live value)を指定する。初期値は30 |
-f TTL | --first-ttl TTL | 表示を開始するTTLの値を指定する(経路を途中から表示する際に使用) |
-B 数値 | --bitpattern 数値 | ペイロードで使用するビットパターンを0〜255で指定する |
-Q 数値 | --tos 数値 | IPヘッダのToS(Type of Service)を0〜255で指定する |
mtrの主なオプション(表示方法)
短いオプション | 長いオプション | 意味 |
---|---|---|
-r | --report | レポートモードで表示(10回分の計測値を集計して出力、回数は-cで変更可能) |
-w | --report-wide | レポートモードのワイド表示。ホスト名をカットせずに出力する |
-x | --xml | XML形式で出力する |
-l | --raw | RAW形式で出力する |
-o 表示フィールドと順序 | --order 表示フィールドと順序 | 表示するフィールドと順序を指定する(-o "LSD NBAW"のように指定する、フィールド名と意味は次の一覧を参照) |
指定 | ヘッダ表示 | 意味 |
---|---|---|
L | Loss% | ロス率 |
D | Drop | ドロップパケット数 |
R | Rcv | 受信パケット数 |
S | Snt | 送信パケット数 |
N | Last | 最新の往復遅延時間(RTT) |
B | Best | 最短のRTT |
A | Avg | 平均RTT |
W | Wrst | 最低のRTT |
V | StDev | 標準偏差 |
G | Gmean | 幾何平均 |
J | Jttr | カレントジッタ(伝送遅延のゆらぎ) |
M | Javg | ジッタの平均 |
X | Jmax | 最悪時のジッタ |
I | Jint | パケット到着時間の分散の推定値(interarrival jitter) |
経路と応答を調べる
「mtr 通信相手」で、指定した通信相手までの経路と応答を調べます(画面1)。いわば、pingとtracerouteを兼ね備えたコマンドです。
結果を画面に表示後、1秒間隔で表示をリフレッシュします。「q」を入力、または[CTRL]+[C]で終了します。
コマンド実行例
mtr www.google.co.jp
(www.google.co.jpまでの経路と応答を調べる)(画面1)
mtr -n www.google.co.jp
(途中の名前解決を行わない)
実行回数を指定する
表示の実行回数は「-c」で指定します。「-r」や「-w」でレポートモードとなり、画面に結果の表示が残ります(画面2)。「-r」を指定した場合、表示項目の数に応じてホスト名の末尾がカットされますが「-w」の場合はカットされません。
コマンド実行例
mtr -c 3 www.google.co.jp
(www.google.co.jpまでの経路と応答を3回分表示する)
mtr -r -c 3 www.google.co.jp(画面2)
(3回調べて結果を表示する)
mtr -r www.google.co.jp
(10回調べて結果を表示する)
筆者紹介
西村 めぐみ(にしむら めぐみ)
PC-9801NからのDOSユーザー。PC-486DX時代にDOS版UNIX-like toolsを経てLinuxへ。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『はじめてでもわかるSQLとデータ設計』『シェルの基本テクニック』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。
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