先行き不安なWindows Update――ボクが2017年10月の更新をスキップした(できた)理由:山市良のうぃんどうず日記(108)(1/2 ページ)
毎月第二火曜日の翌日(日本時間)は、恒例のWindows Updateの日です。最近は何か問題が起きるのではないか、更新に何時間もかかったり、その上失敗したりするのではないかと、恐怖さえ感じます。さて、2017年10月のWindows Updateは無事に済んだのでしょうか。
2017年10月のWindows Update、トップニュースは「さようならNovember Update」
2017年10月のWindows Updateの最大のニュースは、数カ月前から予告されていた通り、2015年11月にリリースされた「Windows 10 バージョン1511」(Windows 10 November Update)の更新サポートの終了でしょう。ちなみに、同日に「Office 2007」のサポートも終了しました。
- CBとCBBでWindows 10 Version 1511のサービス終了(2017年7月27日)(Microsoft サポート)
サポート終了は上記Webページのアナウンスにある「2017年10月10日」と思っている人もいるようですが、これは米国時間でのこと。これまでのWindowsと同様、その次の毎月第二火曜日(米国時間)に配布される「品質更新プログラム」(以前の「セキュリティ更新とバグ修正」)が、更新サポートで提供される“最後の更新”になります。
つまり、以下の累積的な更新プログラムで更新される「ビルド10586.1176」(初出時「ビルド14393.1770」となっていました。お詫びして訂正致します)が、このバージョンの最終ビルドとなるはずです(画面1)。今後、品質更新プログラムが提供されることはないので、機能更新プログラムによりWindows 10 バージョン1607またはそれ以降にアップグレードすることをお勧めします。
- Updates for Windows 10 Version 1511 > October 10, 2017-KB4041689(OS Build 10586.1176)≫[英語](Microsoft Support)
毎月恒例の更新トラブル、2017年10月の問題は?
毎月恒例のWindows Update、更新に起因する問題発生も残念ながら“恒例”となっています。最近では、Windows 10 バージョン1607およびWindows Server 2016向けの2017年8月の累積的な更新プログラムで、「更新の履歴」が消えてしまうという問題がありました。また、9月の「Office 365(Office 2016)」アプリの更新では、日本語を使用した一部のマクロ/VBA(Visual Basic for Application)が削除されてしまうという問題もありました。
- 最近のWindows Updateは、本当にどうかしている(と思う)(本連載 第104回)
- 最新Office 365でマクロ/VBAの問題が発生――「Semi-Annual Channel(半期チャネル)」で助かったという話(本連載 第107回)
それでは、2017年10月の更新はどうだったかというと、Windows 10およびWindows Server 2016向けの累積的な更新プログラム「KB4041691(ビルド14393.1770)」が、結構重大と思われる既知の問題付きでリリースされました。
その問題とは、Windows Updateに関連する以下の3つの問題です(2017年10月11日現在)。いずれの問題も現在修正に向けて作業中であり、将来の更新で解決されるとのことです。
- [1]この更新をインストールした後、エクスプレスインストールファイルを使用した更新のダウンロードが失敗します。(原文:After installing this update, downloading updates using express installation files may fail.)
- [2]差分更新パッケージをインストール後、「インストールされた更新プログラム」の一覧にKB番号が二重で表示されます。フル更新パッケージをインストールしたときにはこの問題は発生しません。(原文:After installing a delta update package, the KB numbers appear twice under Installed Updates. This issue doesn't occur when you install a full update package.)
- [3]差分またはフルパッケージでKB4041691をインストールした後、一部のアプリケーションを閉じたときにアプリケーションで例外が発生したというエラーダイアログが表示される場合があります。 〜中略〜 アプリケーションの機能には影響しません。(原文:After installing KB4041691, package users may see an error dialog that indicates that an application exception has occurred when closing some applications. This can affect applications that use mshtml.dll to load web content. The failure only occurs when a process is already shutting down and will not impact application functionality.)
上記2つ目、3つ目の問題は「Microsoft Updateカタログ」から「KB4041691」の差分更新または累積更新プログラムをダウンロードしてインストールした場合に発生する問題ですが、システムの機能や安定性に影響するものではありません(画面2、画面3)。しかし、1つ目はとても無視できない問題です。
1つ目の問題は、Windows 10やWindows Server 2016のWindows UpdateやWindows Server Update Services(WSUS)による更新で、品質更新プログラムのダウンロードサイズを最適化する「更新プログラムのエクスプレス配信(Express Update Delivery)」に影響するようです。更新プログラムのエクスプレス配信については、以下のドキュメントの「更新プログラムのエクスプレス配信」で説明されています。
- Windows 10の更新プログラムの配信の最適化(Microsoft Windows IT Center)
「KB4041691(ビルド14393.1770)」に更新すると、この問題が未修正の現状は“次回の品質更新でエクスプレス配信が失敗する”というのです。そして、Windows Server 2016については、「KB4041691(ビルド14393.1770)」自体がエクスプレス配信で配布されていないということが、「Workaround(回避策)」の欄に記載されています(Note:KB4041691 is not available with express installation files for Windows Server 2016.)。
これはどういうことかというと、例えば、Windows Updateを「手動」で開始したとすると、通常はサイズの小さいエクスプレス配信用のファイルがダウンロードされます。ところが、問題が未修正の状態では、Windows Server 2016向けの「KB4041691(ビルド14393.1770)」はフルサイズのファイルとしてダウンロードされるということです。
以下の画面4、画面5は、Windows Updateで「KB4041691(ビルド14393.1770)」のダウンロードが完了した時点のダウンロードファイルを示しています。
![画面5](https://image.itmedia.co.jp/ait/articles/1710/17/vol108_screen05.png)
画面5 Windows 10 バージョン1607(x64)のWindows Updateでダウンロードされたエクスプレス配信用ファイル。わずか40MB(ただし、これは最初のファイルであり、更新のダウンロードがこれで完了しているわけではない)
画面4はWindows Server 2016、画面5はWindows 10 バージョン1607(x64)で、どちらも「C:\Windows\SoftwareDistribution\Download」ディレクトリの配下にキャッシュされた配信用のファイル(.cab)です。
Windows Server 2016はフルサイズの1.15GB、Windows 10 バージョン1607(x64)はエクスプレス配信用の40MBです。x64版の累積的な更新プログラムは本来、Windows 10 バージョン1607とWindows Server 2016で共通なので、今回の違いが明らかに分かるでしょう。ただし、エクスプレス配信の方は、この後も更新が必要なコンポーネントの更新版のダウンロードが続くので、わずか40MBでダウンロードが完了するというわけではありません。
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