「HoloLens」で調剤作業を効率化――調剤薬局支援システムの実証実験を発表:「棚ナビゲーション」で薬剤師を誘導
シャンティは、HoloLensを使った調剤薬局支援システムの活用実証実験を実施する。処方箋の内容から、薬剤師を必要な薬のある棚やトレイの位置へ誘導し、薬品の取り出しミス防止など、一連の業務を支援する。
シャンティは2017年11月13日、Mixed Reality(複合現実)技術を応用した「調剤薬局支援システム」の活用実証実験を、2017年11月20日に神奈川県藤沢市の「あけぼの薬局 辻堂駅前店」で開始すると発表した。この実験は、神奈川県が「さがみロボット産業特区」の平成29年度の取り組みとして採択した生活支援ロボットの実証実験11件の1つ。
同システムは、Microsoftの「HoloLens」とRFセンサーを連携させ、必要な薬品を正確かつ素早く薬品棚から取り出せるように、薬剤師をナビゲートする。薬剤師は、HoloLensとRFセンサーを装着し、HoloLensが備えるカメラを使って、QRコードや、目的の薬品の位置などを認識する。HoloLensとRFセンサーは、Wi-Fiを経由して通信を行い、RFセンサーで読み取った情報をHoloLensのディスプレイに表示する。
調剤薬局支援システムは、「処方箋確認」「棚ナビゲーション」「トレイナビゲーション」「(薬品の)ピッキング確認」「調剤タスク管理」の5つの業務を支援する。
処方箋確認は、HoloLensが処方箋に記載されたQRコードを読み取り、調剤すべき薬品を、薬剤師が装着しているHoloLensの画面に表示する仕組み。棚ナビゲーションでは、調剤すべき薬がある棚の位置をHoloLensの画面に緑色の矢印で表示する。
トレイナビゲーションでは、調剤すべき薬があるトレイを示すマーカーを、HoloLensの画面に表示する。ピッキング確認では、薬剤師が指に装着しているRFリーダーを介して、トレイから薬を取り出したことを検出し、間違った薬だった場合は警告を表示。証拠として取り出した薬の写真も撮影する。調剤タスク管理では、ピッキングリストと処方箋の内容を比較し、処方された全ての薬を調剤したことを確認する。
シャンティによれば、実証実験の目的は、「機器を装着することで、大きな負荷がなく調剤業務ができることの確認」。HoloLens装着時と非装着時の業務を比較し、調剤業務が効率的に行われるかどうかも検証する。実証実験の様子を360度撮影可能なカメラで録画し、動線や被験者の様子も客観的に分析したい考えだ。シャンティは、実証実験の結果を踏まえ、2018年4月にシステムの販売開始を予定している。
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