ITとビジネス、両方見られる人材育成を――IDC Japan、国内IoT市場コグニティブ(AI)活用動向調査結果を発表:1年間に生成されるデータ量、2025年には2016年比で約10倍に
IDC Japanは、「IoTとコグニティブを組み合わせることで生み出される価値についての調査結果」を発表した。今後デジタルデータの生成量が急増し、それに伴ってIoTやコグニティブの活用が急拡大するという。
IDC Japan(以下、IDC)は2017年11月14日、「IoT(Internet of Things)とコグニティブ(注)を組み合わせることによって生み出される価値についての調査結果」を発表し、2025年に向けて、デジタルデータの生成量が急増し、IoTやコグニティブの活用も急拡大するとの見方を示した。IoTやコグニティブを活用する産業が多方面に広がることで、今後は「技術」と「ビジネス」の両方に長けた人材の開発などが必要になるという。
※注:IDC Japanでは、コグニティブを「一般的に『人工知能』や『AI』と呼ばれる分野」と定義している。
IDCは、「全世界で1年間に生成されるデジタルデータの量は、2025年に163兆GBに増加する」と推定。これは、2016年の約10倍に相当する。それらのデータに占めるIoTデータと非IoTデータの割合については、「非IoTデータが圧倒的に高いものの、IoTデータの増加率は突出して高くなる」と見込む。
こうした予測に伴い、IDCは、「IoTとコグニティブを融合させ、分析対象とするデータと、インサイトを生み出すデータの両方を最大化させることで、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実践する企業の事例がさまざまな産業に広がる」と見ている。
これまでIoTに対する国内投資をけん引してきたのは、主に製造業や運輸/運輸サービス業などで、目的は業務効率化やコスト削減といった「社内用途」だった。
一方、IoTやコグニティブを「社外用途」、つまり社外の顧客に対して何らかの付加価値を提供する目的で活用する企業も、最近は増加傾向にある。IDCは、企業とベンダーがIoTデータと非IoTデータを組み合わせ、IoTやコグニティブを社外用途に活用することで生み出す新たな外販ソリューションを「IoT Enabled Solution」と呼んでいる。
IoT Enabled Solutionに関連する社外用途の例として、IDCは、
- 建設現場の作業効率の最適化
- 農林水産業の収益率拡大
- 小売業の業務プロセスや設備の改善
- 交通や社会インフラのスマート化
- 医療プロセスの高度化
- 電力データを活用したスマートホームサービスの創出
- 保険サービスのカスタマイズ性向上
などを挙げている。
IDC Japanでコミュニケーションズ シニアマーケットアナリストを務める鳥巣悠太氏は、「IoT Enabled Solutionを創出する上で、ベンダーは適切な人材教育プログラムを社内外に広げ、技術に対する知見と産業に特化した業務知識を併せ持つ人を強化する必要がある。ベンダーが共創(協創)をキーワードに、企業とともにDXを推進する過程でDX専任組織設立に向けて助言するなど、組織の面から企業を変革するような取り組みも肝要だ」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「IoT時代の技術者」の育成を支援する業界団体「AITAC」が発足 国内IT大手6社が共同で
「IoT時代の技術者育成」を目的とした業界団体「AITAC」が発足。国内大手通信事業者/システムインテグレーターの6社が協業し、ネットワークとコンピューティング両方のスキルに加え、仮想化やクラウドなどのソフトウェア資源を利活用できるスキルを身に付けた、IoT時代の技術者に必要とされる人材を育成していく環境を整える。 - Interop Tokyo 2017、IoTとクラウドで進化するITインフラ、そしてネットワーク
Interop Tokyo 2017の見どころを3回に分けて紹介する連載の第2回として、IoT、クラウド、そしてこれらをきっかけとしたネットワーキングの新たな役割を象徴する展示を紹介する。 - 発情期や疾病リスクを検知、「牛のウェアラブル」開発に立ちふさがった壁とは
IoTがさまざまな業界で活用されている。酪農や畜産業も、例外ではない。本稿では、IoTで牛の健康管理を実現したファームノートに、サービス開発秘話を聞いた。