【トレースフラグ 260】──拡張ストアドプロシージャのバージョンをチェックする:SQL Serverトレースフラグレファレンス(9)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ260の詳細と使い方」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。
今回は「トレースフラグ260」の詳細と使い方を解説します。
トレースフラグ260は、拡張ストアドプロシージャのバージョンをチェックします。260の対応バージョンは、SQL Serverの全バージョンです。
SQL Serverでは拡張版SQLであるTransact-SQLだけではなく、.NETプログラミングも利用できます。以前は拡張ストアドプロシージャを使用していましたが、現在は.NET Frameworkの共通言語ランタイム(CLR)を使います。
拡張ストアドプロシージャのDLLでは、__GetXpVersion関数を利用します。このとき古いバージョンのsrv.hを使用してコンパイルしていたり、無効な値を返したりすることがあります。
トレースフラグ260が有効になっていると警告メッセージをエラーログに出力します。__GetXpVersion関数がサポートされていない場合には、別の警告メッセージをエラーログに出力します。
なお、拡張ストアドプロシージャの機能は将来のバージョンで削除されます。使用している場合は、早めにCLR統合に変更することをお勧めします。
設定可能なスコープ
設定方法 | 可/不可 | 要/不要 |
---|---|---|
スタートアップ | ○ | − |
グローバルスコープ | ○ | − |
セッションスコープ | × | − |
クエリスコープ | × | − |
トレースフラグ 3604/3605 | − | 不要 |
動作例
DLLを読み込む段階でトレースフラグ260が有効になっている場合は、__GetXpVersion関数を使用してバージョンをチェックし、必要に応じて警告メッセージを出力します。
トレースフラグ260を有効にした状態で、__GetXpVersion関数がサポートされていない拡張ストアドプロシージャを実行すると、次のような警告メッセージをエラーログに出力します。
Extended stored procedure DLL 'xpsqlbot.dll' does not export __GetXpVersion(). Refer to the topic "Backward Compatibility Details (Level 1) - Open Data Services" in the documentation for more information.
筆者紹介
内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)
ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、2017年現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。
椎名 武史(しいな たけし)
ユニアデックス株式会社所属。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- それでは“ダメ”な「トラブル対応例」
本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、「SQL Serverで起こりがちなトラブル」を厳選して、具体的な対処方法を紹介していきます。第1回目は「トラブルを適切に対処するための考え方」を解説します。 - 「パラメータースニッフィング」によって、あるタイミングから処理が遅くなった(パフォーマンストラブル)
本連載は、「Microsoft SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は、「あるタイミングで処理遅延が発生し、それが継続して発生するようになってしまった場合の対処例.2」を解説します。 - I/Oボトルネックの病巣はこれで究明できる