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【トレースフラグ 634】──列ストアインデックスの圧縮タスクを無効にするSQL Serverトレースフラグレファレンス(11)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「トレースフラグ」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は「トレースフラグ634の詳細と使い方」を解説します。

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SQL Serverトレースフラグレファレンス一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブル対策を踏まえた「SQL Serverのトレースフラグ」の使いこなしTipsを紹介していきます。

 今回は「トレースフラグ634」の詳細と使い方を解説します。

 トレースフラグ634は、バックグラウンドで実行される列ストアインデックスへのデータ圧縮タスクを無効にする設定です。トレースフラグ634はSQL Serverの全てのバージョンに対応します。

 圧縮されていないデータを列ストアインデックスへ格納すると、SQL Serverがデータ圧縮タスクを定期的に実行します。データを圧縮することで、一度のI/O操作で多量のデータを読み込むことができます。その結果、処理が効率的になります。

 しかし、この手法には弱点もあります。データ圧縮と展開にはCPUリソースを使い、実行に時間がかかることもあります。このため業務繁忙時間帯などにデータ圧縮タスクが実行されると、困る場合が考えられます。

 レースフラグ634を利用するのは次のような状況です。データ圧縮タスクの動作を抑止し、業務上、データ圧縮を実行してよい時間帯にALTER INDEX REORGANIZEまたはALTER INDEX REBUILDコマンド(*1)を実行します(図1)。こうすることで、最終的に圧縮された最適な列ストアインデックスを利用できます。

*1:本文中ではALTER INDEX REORGANIZEとALTER INDEX REBUILDを列ストアインデックスに用いるものとして扱っている。この2つのコマンドはもともと通常のB-treeインデックスに対して用意されていた。REORGANIZE句を用いた場合、インデックス構造そのものを保ったままデータが格納されたエリアを再編成する操作を行う。REBUILD句を用いる場合は該当するインデックスを作り直すため、全ての断片化が解消される。列ストアインデックスの最適化については、Microsoftの次のドキュメントが参照になる。



図1
図1 トレースフラグ634を有効にした場合とそうでない場合の処理の違い 有効にするとデータ圧縮処理を自動実行しなくなる。圧縮処理でリソースを消費するタイミングを調整できる利点がある

設定可能なスコープ

トレースフラグ634
設定方法 可/不可 要/不要
スタートアップ
グローバルスコープ
セッションスコープ ×
クエリスコープ ×
トレースフラグ 3604/3605 不要

動作例

 図2の上に規定動作での結果を示しました。state_description列がCOMPRESSED(圧縮済み)になっていることが分かります。図2の下は、トレースフラグ634を有効にし、データをロードした直後の状態です。ここではstate_description列がOPENになっており、規定動作とは異なっていることが分かります。

図2
図2 トレースフラグ634の設定前(上)と設定後(下)のインデックス情報の違い 設定するとデータ圧縮タスクが無効になる
 ※本Tipsは、Windows Server 2012 R2上に「SQL Server 2016 RTM」をインストールした環境で解説しています

筆者紹介

内ヶ島 暢之(うちがしま のぶゆき)

ユニアデックス株式会社 NUL System Services Corporation所属。Microsoft MVP for Data Platform(2011〜)。OracleやSQL Serverなど商用データベースの重大障害や大型案件の設計構築、プリセールス、社内外の教育、新技術評価を担当。2016年IoTビジネス開発の担当を経て、現在は米国シリコンバレーにて駐在員として活動中。目標は生きて日本に帰ること。

椎名 武史(しいな たけし)

ユニアデックス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。


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