年の初めに再確認、2018年にサポートが終了するMicrosoft製品は?:山市良のうぃんどうず日記(116)(3/3 ページ)
Microsoftは同社の製品およびサービスについて、明確なサポートポリシー(ただし、途中で変更あり)に基づき、更新プログラムを含むサポートを提供しています。2018年は主に10年前にリリースされた製品がサポート終了を迎えます。どのような製品があるのか、年の初めに再確認し、使用していないかどうかを調べておきましょう。
3月ごろ終了──WaaSでサポートが終了するWindows 10
最初に指摘したように、Windows 10はWaaS(サービスとしてのWindows)のライフサイクルに基づいてサポートされます。WaaSでは、年に2回、3月ごろと9月ごろに新バージョンがリリースされます。2018年はバージョン1803(仮)とバージョン1809(仮)のリリースが予定されています。一方、新バージョンのリリースと入れ替わるようにサポートが終了するバージョンがあります。
Windows 10 Anniversary Update(バージョン1607)とWindows 10 Creators Update(バージョン1703)は、それぞれ3月ごろと9月ごろにサポートが終了する予定です。実際には新バージョンと入れ替わるわけではなく、各バージョンはリリース後、原則として18カ月でサポートが終了します。その時期がちょうど3月ごろと9月ごろになるわけです。Windows 10 Fall Creators Update(バージョン1709)が出たばかりで、現在、バージョン1607やバージョン1703を利用中のユーザーは多いでしょう。しかし、どちらも2018年中に姿を消します。
以下の図1にそのサイクルを表現してみました。この忙しいサイクルが永遠に続くのか、どこかで途切れるのか(ポリシーが変更されるのか)分かりませんが、現時点では永遠に続くことを前提に進むしかありません。
企業の場合、「Windows Update for Business」をうまく活用して(最大で半期チャネルの4カ月+365日延期可能)、1年に1回のアップグレード(つまり、間の1バージョンをスキップ)で運用するなどで、業務への影響をできるだけ少なくする必要があるでしょう。確かに、Windows 10の新バージョンには企業向けの新機能が搭載され、改善されてきています。しかし、安定性が増しているかというとどうでしょうか。新バージョンが出るたびに、安定性がリセットされるような気がするのは筆者だけではないと思います。
なお、Windows 10 November Update(バージョン1511)のサポートは2017年10月に終了しました。ただし、その翌月、Windows 10 EnterpriseおよびEducationエディションに限り、半年間(2018年4月まで)、セキュリティ更新のサポートが延長されることが発表されています。
- Windows as a Service の進捗状況について(Windows Blogs)
場合によっては、バージョン1511よりも先にバージョン1607のサポートが終了するかもしれません。あるいは、バージョン1511と同様に、エディション限定で一定期間延長されるかもしれません。Windows 10 バージョン1607はLTSCのWindows Server 2016と同じビルドであるため、親和性の高さから企業ユーザーの多くがWindows Server 2016とともに導入していると思います。そのため、個人的には延長されてほしいのですが、期待するのは止めましょう。
3月ごろ終了──初代Nano Serverもサポートが終了する(はず)
Windows Server 2016では「Server Core」と「デスクトップエクスペリエンス」(以前は「GUI使用サーバー」と呼ばれていたもの)の2つのインストールオプションに加えて、「Nano Server」と呼ばれる新しい最小インストールオプションが追加されました。
Nano Serverはデスクトップと対話型のコンソールを持たず(主に情報表示のためのRecovery Consoleのみ提供)、コマンドラインや管理ツールからリモート管理することを前提にしたものです(画面3)。このWindows Server 2016ベースのNano Server(便宜上、初代Nano Serverと呼びます)は、物理マシンや仮想マシンにインストールするか、WindowsコンテナのベースOSイメージ(microsoft/nanoserver)として提供されます。
初代Nano ServerがWindows Server 2016のインストールオプションの1つであるというのは、ある意味間違いではありませんが、その登場時からWindows Server 2016とNano Serverはライセンス上、大きな違いがありました。Windows Server 2016はLTSC(その当時はその呼び方はありませんでしたが)ですが、Nano ServerはWindows Serverのソフトウェアアシュアランス(SA)で提供されるものです。
また、Nano Serverは1年に数バージョンが提供され、古いバージョンはサポートが終了していくという、WaaSと同様のポリシーでした。結局、初代Nano Serverの次のバージョンが提供されないまま、Nano Serverは半期チャネルのWindows Serverに統合されました(2代目Nano Server)。そして、2代目Nano Serverからは、物理サーバや仮想マシンにインストールして使用するというシナリオはサポートされず、WindowsコンテナのベースOSイメージとしての提供だけになります。
2代目Nano Serverからは、半期チャネルのポリシーに基づいて、年に2回、3月ごろと9月ごろに新バージョンがリリースされ、各リリースは18カ月間サポートされます。初代Nano ServerはWindows 10 バージョン1607と同時期にサポートが終了するはずです。
初代Nano Serverが物理サーバや仮想マシンで動いている場合、アップグレード先はありません。2代目Nano Serverはそのシナリオをサポートしていないからです(WindowsコンテナはベースOSイメージの入れ替えなので、アップグレードという考え方はありません)。初代Nano Serverの物理サーバまたは仮想マシンの運用を続ける必要があるなら、何らかの方法で、LTSCのWindows Server 2016または半期チャネルのWindows Server バージョン1709以降に移行する必要があります。
筆者紹介
山市 良(やまいち りょう)
岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(Oct 2008 - Sep 2016)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『Windows Server 2016テクノロジ入門−完全版』(日経BP社)。
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