Intuneのデータや管理機能を幅広く活用可能に――Microsoft、「Intune APIs in Microsoft Graph」が正式リリース:パートナーや顧客の事例を自動化、統合、分析というテーマで公開
クラウドEMMサービス「Intune」にアクセスできるMicrosoft Graph APIが正式リリースされた。
Microsoftは2018年1月31日(米国時間)、「Intune APIs in Microsoft Graph」を正式リリースした。数日以内に全世界で利用可能になる見通しだ。
Intune APIs in Microsoft Graphは、Microsoftが提供するクラウドベースのエンタープライズモビリティー管理(EMM)サービス「Microsoft Intune」(以下、Intune)にアクセスできる「Microsoft Graph API」。Microsoftは、「このAPIは、顧客やパートナーがワークロードを自動化、統合し、デバイス管理における展開時間の短縮や全体的な効率向上につなげられる可能性がある」としている。
Intune APIs in Microsoft Graphにより、IT担当者やパートナー、開発者は、「Microsoft Azureポータル」で提供されるデータや管理機能に他のプログラムからアクセスできるようになる。この機能を使うことでさまざまなデバイス管理タスクの自動化が可能になる。
Intune以外にも、これまでに「Office 365」や「Azure Active Directory(Azure AD)」などのMicrosoftのクラウドサービスがMicrosoft Graphでアクセスできる。これはMicrosoft Graph APIを使ってメールやカレンダー、連絡先、ドキュメント、ディレクトリ、デバイスなどの生産性を高めるデータにアクセスできるということだ。Microsoft Graphは、一連のREST APIでMicrosoftクラウドサービスにアクセスするための単一のインタフェースとして機能している。
Microsoft Graphによって実現できるシナリオは数多くあり、Microsoftは、Intune APIs in Microsoft Graphで何ができるかを示すために、主なユースケースとして、パートナーや顧客の事例を自動化、統合、分析というテーマで紹介している。
自動化
Microsoft Graphにより、さまざまなMicrosoftクラウドサービスに接続し、それらの間のワークフローやプロセスを自動化できる。Microsoft Graphは、RESTベースのAPIエンドポイントや、人気のプログラミング、自動化プラットフォーム(.NET、JavaScript、iOS、Android、PowerShell)など、さまざまなプラットフォームやツールでアクセスできる。Intune APIs in Microsoft Graphではリソース(ユーザー、グループ、デバイス、アプリケーション、ファイルなど)やポリシーをクエリできる。それによりこれまでは困難あるいは複雑だった問い合わせが、シンプルなクエリで処理できるようになったという。
例えば、MicrosoftパートナーのPowerON Platformsは、Intune APIs in Microsoft Graphを使って自社のソリューションを迅速かつ一貫した方法で顧客に提供している。
統合
Intune APIs in Microsoft Graphは、ユーザー、デバイス、アプリケーションに関する詳細情報を他のIT資産管理システムに提供できる。Microsoft Graphを呼び出してIntuneの管理機能やポリシーを構成し、さまざまなサービス間のワークフローを統合するカスタムエクスペリエンスの構築が可能だ。
例えば、KloudはMicrosoft Graphを利用して、Intuneのデバイス管理およびサポートアクティビティーを既存の集中管理ポータルに統合している。
分析
多様なモバイル環境を管理する多忙なIT部門にとって、適切なデータの入手は不可欠だ。「PowerBI」などの分析サービスとともにIntune APIs in Microsoft Graphを利用することで、Intune、Azure AD、Office 365のデータに基づくカスタムダッシュボードやレポートを作成できる。これにより、デバイスコンプライアンス、デバイス構成、アプリケーションインベントリ、展開状態など、さまざまな角度から自社の環境をモニタリングし、デバイスやアプリケーションの状態を把握できる。また「Intune Data Warehouse」により、最大90日間の履歴データにアクセスできる。
例えば、NetrixはMicrosoft Graphを使って、より効果的なデバイス管理を目的に、エンドユーザーエクスペリエンスの向上やレポート精度の改善を実現する自動化ソリューションを構築している。
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