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SQL Serverのサービスが起動しない:その2(起動トラブル)SQL Serverトラブルシューティング(67)(1/2 ページ)

本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブルについて、「なぜ起こったか」の理由とともに具体的な対処方法を紹介していきます。今回は「SQL Serverのサービスが起動しない」場合(その2)の解決方法を解説します。

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SQL Serverトラブルシューティング一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で発生するトラブルについて、「なぜ起こったか」の理由とともに具体的な対処方法を紹介していきます。

トラブル 56(カテゴリー:起動トラブル):SQL Serverのサービスが起動しない(その2)

 「Windows Server 2012 R2」上に「SQL Server 2016 RTM」をインストールした環境を想定して解説します(本トラブルシューティングの対応バージョン:SQL Server 2012以降)。

トラブルの実例:パフォーマンスに問題があったシステムを移行した。最新のハードウェアとソフトウェアを選定し、テストを実施したところ、新機能を使うことでパフォーマンス向上が得られる見込みである。

 何度かテストした後、条件を変えたテストのためにデータをロードし、データベースを再起動したところ、アプリケーションと接続できなかった。プロジェクト計画上、本テストの結果をレビューすることが重要であり、本日中にテストを続行できる状況にしなければならない。

トラブルの原因を探る

 テスト環境構築のために、本番予定環境と同じ設定を用意したかったものの、実際には本番予定環境よりハードウェアスペックが劣るとあらかじめ分かっていました。

 テストでは条件を変えながら実施するため、次に挙げた番号3の環境セットアップから番号8のログ保存までを繰り返すことになります。

番号 作業内容
1 ハードウェアのセットアップ
2 Windows OS、SQL Serverのインストール
3 環境セットアップ実行
4 テストデータのローディング
5 テスト条件設定
6 サーバ再起動(現象発生)
7 テスト実施
8 必要なログの保存
9 残りのテストがなくなるまで3に戻り、テスト条件を変更する

 今回失敗したテストでは、インメモリデータベースのパフォーマンス測定を行う予定でした。環境セットアップとテスト条件設定では次の処理を進めました。

  • 復旧モデルの設定
  • ファイルグループの設定
  • インメモリデータベース機能
  • テーブル作成
  • max server memory変更

 トラブルが生じた際の起動時のエラーを図1に示します。

図1
図1 起動失敗時のERRORLOG出力を抜粋したもの 出力の内容から起動時のリカバリ中にメモリ不足に陥っていたことが分かる。このときデータベースは復旧中のため、データにアクセスできない

 図1の表示内容から、インメモリデータベースを扱うためのメモリが不足していると分かりました。

 今回のテストでは、インメモリデータベースを構成する際、メモリ最適化テーブルにデータの永続性を持たせています(図2)。これによって、データベースを起動するときにメモリ最適化テーブルに格納されたデータをメモリ上に展開する必要が生じます。

図2
図2 メモリ最適化テーブルのプロパティ メモリ最適化の項目がTrueになっていること、持続性がSchemaAndDataになっていることを読み取れる

 このときメモリ不足に陥ると、エラー701により、データベースの起動に失敗し、復旧中のステータスとなります。

 今回は番号5のテスト条件設定時に、max server memoryをデータロード時よりも少なく設定していました。そのためデータロード時にはメモリは十分でしたが、その後のメモリサイズの変更と再起動によって、メモリ不足が発覚しました。

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