“ドローン×画像認識AI”で漁業密漁を監視――ミツイワとNTTコムウェア、サービス実用化に向けた共同実証へ
ミツイワは、ドローンによる漁業密漁の監視抑止サービスの映像認識に、NTTコムウェアの画像認識AI「Deeptector」を採用。サービスの実用化に向け、2018年4月から漁場でのフィールド検証を開始する。
ミツイワは2018年3月28日、ドローン(小型無人飛行機)による漁業密漁の監視抑止サービスの映像解析に、NTTコムウェアの画像認識AI「Deeptector」を採用すると発表した。2018年4月から漁場におけるフィールド検証を開始する。
近年、密漁者の手口は巧妙化、悪質化しており、その対策が大きな課題となっている。現状は漁業関係者自らが見回り、目視による監視を行うケースが多いという。しかし、労力やコストが大きい上に、密漁現場を発見しても、関係機関に通報している間に密漁者が逃亡したり、監視の過程で密漁者から攻撃を受けたりするなど、効果を上げにくく、リスクを伴う状況だ。
ミツイワでは、この課題解決に向けて、複数の漁業協同組合などとドローンによる漁業密漁監視の実証実験を重ね、密漁が行われる夜間の監視に適したカメラの選定や、最適な運用航路の調査、検討、ドローンによるデータ収集などを進めてきた。
今回、ドローンによる漁業密漁の監視抑止サービスに採用するNTTコムウェアのDeeptectorは、画像認識技術によって、人の目による判定や判別を自動化、省人化できるサービス。ディープラーニングによって、現場に必要な観点での認識精度を向上できる。監視・検閲、インフラ劣化診断、製品外観検査の各分野で高い評価を得ているという。
本格導入に先立ち、両社は2018年1月からドローンで撮影、収集した漁業密漁監視の映像をクラウド上のDeeptectorで解析する実証実験を実施。密漁の監視抑止に大きな効果が期待できることを確認したという。
2018年4月からは、全国の漁業協同組合の協力の下、「ドローンによる撮影、Deeptectorによる解析、関係機関へのリアルタイム通報」の一連の作業を想定したフィールド検証開始する。フィールド検証の結果を基に、順次サービスを開始する計画だ。
また、NTTコムウェアは実証実験を通して、Deeptectorの学習などを継続的に進め、密漁対策に最適な画像認識AIを提供していくとしている。
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