GPS内蔵のIoTシューズで高齢者を見守り――フジクラなど4社が開発:鹿児島県肝付町で実証実験を実施
フジクラなど4社は、位置情報取得機能を備えた靴から利用者の位置を検索する見守りシステムを開発した。GPSモジュールを内蔵しながら、履き心地にも配慮した。
フジクラ、ハタプロ、キャラバン、LiveRidgeの4社は2018年3月28日、位置情報取得機能を備える靴と、その靴からユーザーの位置を検索する見守りシステムを開発したと発表した。
近年、認知症などによる行方不明者が毎年全国で1万人を超え、年々増加傾向にあることから、行方不明者の早期発見や安全確保が社会問題になっている。
フジクラは、企業向けに提供しているMVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)サービスとGPSによる位置情報の連携で、高齢者の見守りサービスに活用する方法を模索。認知症を患う対象者でも、外出時に自然な形でGPS機器を携帯できるよう、靴に着目した。
そこで、トレッキングシューズメーカーのキャラバンが、GPSモジュールを内蔵しながら、履き心地にも配慮した靴を制作。4社は「これまでもGPSを搭載した靴はあったが、履き心地など、靴として見た場合のユーザーの満足度が低く、普及の妨げになっていた」としている。
医療介護向けシステムの開発に関するノウハウを備えるハタプロとLiveRidgeは、位置を検索する見守りシステムやIoT(Internet of Things)向けの管理システムを開発。捜索などに特化した機能を実装し、画面遷移の少ないデザインを採用するなどして、実用性を高めたという。
4社は2018年3月10日、鹿児島県肝付町の協力を得て、実際の利用シーンを想定した捜索実証実験を実施。GPS機能を備えた靴を履いた2人が行方不明になったと想定し、実際に行方不明者が発生したときと同様に捜索を行った。
行方不明者役が出発した20分後、5人規模の捜索チームが、見守りシステムを利用して探索を開始。スマートフォンの画面に表示される行方不明者の位置情報を基に移動しながら行方不明者を捜索し、約30分で発見したという。4社は、同実証実験を通じて、靴と見守りシステムの有用性を確認したとしている。
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