AI予算の7割を食う「ITインフラ」、中でも予算超過しやすいのは? 医療機関調査:AI活用を支えるITインフラ、そのコストの実態を探る
Wasabi Technologiesは、医療機関におけるAI活用に関する調査結果を発表した。AI予算の多くを占めるITインフラでは、どのような課題が生じているのか。調査結果から背景を探る。
Wasabi Technologiesは2026年6月17日(米国時間)、クラウドストレージとAI活用に関する年次調査「2026 Wasabi Global Cloud Storage Index」について、医療分野のIT担当者およびIT意思決定者の回答に絞った調査結果を発表した。
AI投資によって、今後12カ月以内に投資対効果(ROI)がプラスになる見込みだと答えたのは41%だった。プラスのROIを既に得ているとの回答は、34%にとどまった。ROIを向上させる上では、AI投資のコストが重要な要素となる。
AI予算の7割を占める「ITインフラ」、中でも課題なのは?
調査結果では、ストレージやサーバといったITインフラが、AI予算の平均67%を占めていた(残りの33%はSaaSを含むソフトウェア)。AI向けITインフラ予算を確保しているとの回答は99%に上り、今後1年間にAI向けITインフラ予算が増えると答えたのは64%だった。
こうしたITインフラ投資の中でも、特に予算超過が課題となっている分野がある。
AI導入の課題として最も多く挙がったのは、ストレージコストやデータアクセスといったストレージ関連の課題(48%)だ。2025年の予算実績を聞くと、62%がクラウドストレージについて、予算を超過したと回答した。
調査結果では、クラウドストレージ請求額の平均50%がストレージ容量に対する料金だった。49%はAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)操作やデータアクセス、データ転送などの料金だったという。
複数のベンダーのクラウドストレージを組み合わせるマルチクラウドストレージを採用しているとの回答は73%に上った。AI関連のワークロード(アプリケーションやプロセス)向けストレージでは、65%がオンプレミスストレージとクラウドストレージを組み合わせたハイブリッドストレージを利用していた。
Wasabi Technologiesによると、医療機関がマルチクラウドストレージやハイブリッドストレージを採用する背景として、選択肢の確保や単一ベンダー依存の回避に加えて、コストの抑制がある。アクセス頻度や利用方法に応じて適したストレージを組み合わせることで、ストレージ利用に伴う料金を含めたトータルコストを抑えようとしているとみられる。
ダークデータの活用が今後の課題
保存データのうち、分析や意思決定などに活用されていない「ダークデータ」が一定の割合(25〜74%)を占めると答えた組織は、半数を超えた。95%がダークデータの分析・活用を「優先事項」だと位置付けており、既存データの有効活用が今後の重要なテーマとなっていることがうかがえる。
「大量のダークデータの存在は、医療機関が既に保有するデータを活用しながらストレージ関連支出を抑え、イノベーションを実現できる好機にあることを示している」。Wasabi Technologiesのアンドリュー・スミス氏(戦略および市場インテリジェンス担当ディレクター)は、こう語る。
調査は独立系調査会社Vanson Bourneに委託し、2025年11〜12月に日本やオーストラリア、カナダなど12カ国で実施した。対象はクラウドストレージの購入に関与するIT意思決定者1700人(うち医療分野171人)だ。
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