AWSジャパン、パートナーの力を借りてWindows Serverのクラウド移行を推進:「クラウドネイティブ化」支援も
今後のインフラ基盤はAWSと決めている企業が多いものの、社内のWindows ServerのAWSへの移行については踏み出せない企業が存在する。AWSジャパンは、これに対処するための新パートナープログラムについて説明した。
アマゾン・ウェブ・サービス・ジャパン(以下、AWSジャパン)のWindows OSに関する最新の取り組みは、パートナープログラムの強化。同社は特定のAWSサービスに関するパートナーの能力を認定する「AWSサービスデリバリープログラム」で、「Amazon EC2 for Windows Server」認定に力を入れている。これについて2018年5月28日、最初の認定を受けた富士ソフト、日本ビジネスシステムズの2社と共に説明を行った。
AWSではWindows Server OSのライセンス料を含めた料金で提供するAmazon EC2インスタンスなど、Windows Serverの各種ライセンス形態に対応。また、「VM Import/Export」「Server Migration Service」など、移行ツールも提供してきた。
だが、今後のインフラ基盤はAWSと決めている企業が多いものの、社内Windows ServerのAWSへの移行となると、さまざまな懸念から踏み出せないケースが多いと、AWSジャパン パートナーアライアンス本部本部長の今野芳弘氏は話した。
そこで懸念の解消を支援するパートナーを顧客企業が見出しやすくするために、AWSサービスデリバリープログラムのAmazon EC2 for Windows Server認定を進めているという。これは具体的な作業についての技術レベルを評価するものではない。だが、認定されるにはWindows OSのAWSへの移行実績が求められる他、AWSジャパンによる監査では「(全体的に)高い技術レベルを求めている」(今野氏)という。
富士ソフト 取締役 常務執行役員 ソリューション事業本部長の新井世東氏は、「クラウドとしてAWSを選択するユーザー組織は、自社で移行作業を進められるところが多い」としながらも、セキュリティをはじめとする懸念に対応するため、移行計画から運用まで全ての段階を網羅した「AWSマイグレーションサービス」を提供していると説明した。2020年度末までに、500社のWindows Server移行支援を目指すという。
日本ビジネスシステムズのイノベーションサービス統括本部 データプラネットソリューション本部長である伊藤英啓氏は、MicrosoftアプリケーションをAWS上で構築する「Ambient Office for AWS」、セキュリティ対策の「the Matrix Security」、運用支援の「the Matrix for AWS」などを通じ、包括的な顧客支援が可能と話した。
両社とも、2020年にWindows Server 2008/2008 R2の延長サポートが終了することが、延命措置を含むクラウドへの移行のきっかけの1つになっているとしている。
また、AWSジャパンの今野氏は、Windows OSを使うユーザー組織の多くが、「クラウドネイティブな世界に足を踏み入れられないのではないか」と考えていると話し、こうした企業がDevOpsなどを進める支援もしていきたいと話した。
富士ソフトの新井氏は、別の意味での「クラウドネイティブ」支援について、筆者に説明した。富士ソフトでは、既にIT技術者の多くがクラウド上でのアプリケーション提供に関わっており、今後同社のIT関連事業が提供できる付加価値はここにあると考えているという。従って、Windows OSのクラウドへの移行もさることながら、「サービスとしてのIT」の利用という意味でのクラウドネイティブを推進していきたいという。
【訂正:2018年5月31日午後4時55分】初出時、日本ビジネスシステムズの登壇者を「取締役 常務執行役員 イノベーション統括本部長 和田行弘氏」としておりましたが、「イノベーションサービス統括本部 データプラネットソリューション本部長 伊藤英啓氏」の間違いでした。お詫びして訂正いたします(編集部)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.