「コーディングは死ぬ」「AIはソフトウェアをディスラプトする」 生成AI革命の本当の価値(1/3 ページ)
世界最大のVCであるAndreessen Horowitzのゼネラルパートナー、マーティン・カサド氏が東京で講演、生成AIブームの正体を解説した。生成AIは、インターネットと同じレベルの歴史的変革であり、ソフトウェア業界の在り方を根本的に変える。これにより、ソフトウェアの黄金時代が到来しつつあるという。
世界最大のベンチャーキャピタルであるAndreessen Horowitzのゼネラルパートナー、マーティン・カサド氏が、AI(人工知能)の衝撃とソフトウェア産業の未来について語った。
「Software eats the world(ソフトウェアが世界を食らう)」を旗印に、ソフトウェアスタートアップ企業へのアーリーステージ投資を続けてきた同社にとって、AIと、これによって進行中のソフトウェア業界の変革は最重要トピックだ。
カサド氏は、生成AIがコンピュータ、インターネットに次ぐ歴史上の大変革であり、ソフトウェア業界の在り方を根本的に変えると考えている。
以下では、同氏が2026年2月6日、国際社会経済研究所(IISE)のイベントで行った講演の内容を編集してお届けする。
生成AIは歴史的な経済的シフトをもたらす
AIは、これまでスタートアップ企業にとってビジネスを構築しにくい技術テーマでした。まず、強力なビジネスケースがなかった。AIを使って人間よりはるかに優れた結果が出せるということもありませんでした。さらに、事業を軌道に乗せる前に多額の投資を必要としました。
この状況を一変させたのが生成AIの登場でした。
生成AIは、マイクロコンピュータチップやインターネットと同じような経済革命をもたらします。過去にマイクロチップが計算コストを、インターネットが情報流通コストをほぼゼロにしたように、AIはあらゆる制作や言語推論のコストをゼロに近づけています。
例えば弁護士に法律文書をチェックしてもらうとします。料金は1時間分として700ドル、結果は24時間以内に来るかもしれません。同じことをChatGPTに頼めば、コストは100分の数ドル、数秒で返答が得られます。つまりコストは1万分の1、時間は1000分の1です。
法律関係に限らず、あらゆる分野でAIはコストと時間を劇的に圧縮します。その結果、IT業界の歴史の中で例のない、最も歴史的な成長が生まれています。
Cursorの売り上げはゼロから2年で10億ドルに
AI企業の成長は、これまでのソフトウェア業界の常識を覆すスピードで進んでいます。非AIソフトウェア企業よりも3倍速い収益成長を見せているのです。
私はCursorという会社の取締役を務めていますが、この会社は市場に本格参入した最初の年に、売り上げがゼロから年換算1億ドル規模まで成長しました。さらに翌年には10億ドルを超える規模にまで達しました。これほどの成長を私は見たことがありません。
こうした動きは株式市場にも明確に反映されています。2025年におけるS&P 500のトータルリターンを見ると、実に約78%がAI関連株によるものでした。
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