JSR、AI活用で品質検査を自動化するNECの「AI Visual Inspection」を導入 検品工数50%削減へ
JSRは、AIを活用して製造現場の検品業務を省力化するNECの「AI Visual Inspection」を導入。半導体材料の品質検査業務で稼働を開始し、検品業務の工数削減、製造品質の均一化などを図る。
NECは2018年6月18日、JSRに、製品検査工程の省力化を実現するため、AIを活用した目視検査ソリューション「AI Visual Inspection」を提供したと発表した。
AI Visual Inspectionは、AIを活用して製造現場の検品業務を省力化するソリューション。NECのAI技術群「NEC the WISE」の1つである「RAPID機械学習技術」により、製品画像(X線画像を含む)を基に欠陥の特徴を学習し、検査員に代わって生産ライン上の不良品を検知する。従来の人手で行う検品業務工数を約2分の1程度に削減し、製造品質の均一化も図れるという。
石油化学系事業の他、半導体材料などを手掛けるJSRは、これまで多品種化や出荷リードタイム短縮といった市場ニーズに柔軟に対応するため、製品品質の検査手法の改善や自動化、検査体制の強化などを行ってきたという。一方で、高いスキルが求められる検査要員の育成には時間を要し、業務負荷も高いという課題があったという。
今回、検査の高速化や均質化、状況に応じた対象製品の柔軟な拡大が可能な点などを評価し、AI Visual Inspectionを導入。熟練者と同じ高い精度で迅速かつ高効率に品質検査ができる体制作りも可能になり、現場作業負荷の低減にもつながると見ている。
まずは、半導体材料の品質検査(要因分類)業務の省力化を実現する計画で、2018年7月からの本格稼働を予定。JSRでは、導入検証の結果、品質検査の業務負荷を約50%削減できると見込んでいる。
また今後は、JSRの国内外、多拠点の工場への展開も検討しており、NECでは引き続きを支援していくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東北大学とNECが産学連携、実データを活用しAIの社会実装を推進
東北大学とNECはAIの社会実装を目的にした産学連携を進める。プラント保全や不良品検知、産業用ロボット向け画像認識などの分野での実装を目指す。 - NECは「セーフティ分野のプラットフォーマー」になれるか
英ITサービス企業の買収を発表したNECは、これを機に個別SIからプラットフォーム事業者へと転換を図りたい考えだ。果たしてどんなプラットフォーマーを目指すのか。 - 水中カメラの映像からAIで養殖魚の体長や体重を自動測定 測定工数を6分の1に――ニッスイとNECが共同開発
NECとニッスイは、養殖魚の体長などの測定をAIで自動化するソリューションを共同開発した。水中カメラで撮影した魚群の映像から体長を自動測定し、体重も算出する。養殖魚全体の体長と体重の平均値や分布も把握可能。NECでは、2018年度下期に「魚長等測定自動化サービス(仮)」としてクラウドでの提供を予定している。 - 三井住友銀行、Azure上で動くAIチャットbotのライセンス提供を開始 JSOL、NECらがサービスを販売
三井住友銀行は、日本マイクロソフトと共同開発した対話型AI自動応答システム「SMBCチャットボット」のライセンス提供を開始した。業務効率化や生産性向上などのシステムソリューションを展開するITベンダー向けに提供し、サービス拡販を目指す。