NTT西日本、AIを活用したコンタクトセンター向けソリューションを開始、京都銀行が「電話受付センター」に先行導入
NTT西日本は、社内検証を経て実用化したAI活用のコンタクトセンター向けソリューションを発表。京都銀行が顧客からの問い合わせ電話に対応する「電話受付センター」に先行導入し、応対品質の向上や、顧客の声を生かした商品・サービスの開発、改善を目指す。
西日本電信電話(NTT西日本)は2018年7月18日、社内でトライアルを実施していたコンタクトセンター業務へのAI(人工知能)活用を、新たなソリューションとして社外に展開すると発表した。最初の事例として、京都銀行がNTTグループのAI技術「corevo」を活用した受電センターシステムを導入し、同7月18日から、顧客からの電話問い合わせに対応する「電話受付センター」で運用を開始した。
NTT西日本では、生産性の向上や働き方改革に向けたAI活用の試みとして、さまざまな社内業務でトライアルを実施している。
例えば、電話の加入や移転などの問い合わせを受けるコンタクトセンターでAIを活用し、通話内容を自動で文字に変換することで聞き間違いを防止したり、問い合わせ内容に応じた回答例を表示したりすることで、応対品質の向上を図っているという。また、設備保全業務にAIを活用し、走行車両に取り付けたセンサーで電柱や電線などの設備状況を収集して、AIで故障箇所を絞り込むことで、設備事故の未然防止にも取り組んでいる。
今回、コンタクトセンター業務でのAI活用については、社外でも広く活用できると考え、社外展開を決定。corevoの音声認識技術を用いて通話内容を自動でテキスト化し、キーワードに応じた回答例を表示することで応対者を支援する「VOC(Voice Of Customer)システム」を、コンタクトセンター向けソリューションとして展開する。
第1弾の導入事例となる京都銀行では、顧客サービスの向上に向け、営業店業務の抜本的改革を進めており、その一環として、顧客からの営業店宛ての問い合わせ電話を集約する「電話受付センター」を開設し、VOCシステムを導入した。電話受付センターでは、専担のオペレーターが、預金口座の残高照会や入出金明細照会、各種申し込み手続き、店舗やATMに関する問い合わせなどに幅広く対応するという。
京都銀行では、VOCシステムを活用してオペレーター業務を支援し、応対の迅速化と品質の向上を図るとともに、会話内容(音声)をテキスト化して一元的に収集することで商品・サービスの開発、改善に活用していく考えだ。当初は、京都市内の3支店(七条支店、聖護院支店、九条支店)への問い合わせで同システムの運用を開始。順次対象店を拡大し、2018年度中に全店への拡大を目指すとしている。
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