空調機をIoTハブに「未来のオフィス空間」づくり――ダイキン工業など6社、都内でフィールド実証へ
オカムラ、ソフトバンク、ダイキン工業、東京海上日動火災保険、三井物産、ライオンの6社は、「未来のオフィス空間」づくりを目指す協創プロジェクトを開始。東京都心部のオフィスビルに“生産性や創造性が高まり、快適で健康に働けるオフィス”を体感できるワークスペースを開設し、フィールド実証を行う。
オカムラ、ソフトバンク、ダイキン工業、東京海上日動火災保険、三井物産、ライオンは2018年7月30日、「未来のオフィス空間」づくりを目指した取り組みを共同で進めると発表した。ダイキン工業の協創プラットフォーム「CRESNECT(クレスネクト)」の第1弾プロジェクトとして実施されるもので、2018年度中にAIやIoTを駆使したワークスペースを開設し、実証実験を進める。
ダイキン工業は2018年2月、空調機から得られる空気・空間に関するデータを活用して、新たな価値やサービスを創出することを目的にCRESNECTを開設。一般的なオフィスビルで1部屋に1台以上は設置されている空調機を活用し、センサーやカメラを組み込んで、温度や湿度などの空調に関するデータや明るさ、音、人の数や位置、動き方といった空間に関するデータを収集する想定だ。
今回はフィールド実証の場として、2018年度中に東京都心部のオフィスビルに“生産性や創造性が高まり、快適で健康に働けるオフィス”を体感できるワークスペースを開設。空調、照明、音響、香り、家具などの設備環境の他、さまざまなオフィスシーンに合わせてデザインした空間を設け、そこで働く人の快適性、生産性、健康などに関するデータを収集し、空間コンテンツの効果検証や新たなコンテンツの開発などに活用する。
具体的な検証は、主に「より効率的に働けるオフィス空間」「より創造的に働けるオフィス空間」「より健康的に働けるオフィス空間」のテーマごとに実施する予定。
健康的に働けるオフィス空間では、入退室管理やオフィス機器の利用などの識別に生体認証を活用し、高いセキュリティを保ちながら認証作業を簡素化する他、AIの活用により雑務処理や、資料作成を効率化することで、本来の業務に集中できるオフィス空間サービスの開発を目指す。また、香りや照明、IoTオフィス家具を活用し、集中力をコントロールして生産性向上を図れる空間についても検証する。
創造的に働けるオフィス空間では、創造性を高めるため、音、光、匂い、色、温度など、五感に作用する要素を組み合わせてコントロールし、業務の種類に適したオフィス空間を作り出すサービスの開発を行う。また、コミュニケーションの活発化や五感を刺激して感性を研ぎ澄ませることで、新たな発想が生まれやすい空間づくりも目指す。
健康的に働けるオフィス空間では、在室者の行動を“見える化”し、オフィスワーカーの業務を健康面からも支援することを目指す。着座している時間や移動距離、ストレス度や集中度などを計測、分析することで、それぞれに適したタイミングでのリフレッシュタイムや仮眠の推奨、精神状態に合わせた業務の提案などを行い、健康的に働き続けられるオフィス空間サービスの開発を行う。
実証実験を通して、ダイキン工業は、空調機をハブとした新たなビジネスソリューションの創出と、異業種の各企業とのパートナーシップによる価値ある空間ソリューションの提供を目指す考えだ。
また、オカムラでは、センサー搭載のオフィス家具の商品化やビッグデータを活用した新サービス開発の推進、参加企業とのコラボレーションによる新たな価値提供の可能性を模索する。
ソフトバンクは、空間内のデータ収集と可視化、AIを利用した分析などのテクノロジーを提供し、データの収集、蓄積、活用によるデジタルトランスフォーメーションの推進を目指す。
東京海上日動火災保険は、オフィス空間におけるストレス度や集中度などのセンシングデータの分析から、ヘルスケア分野などにおける新サービスの提供や健康経営ソリューションの開発の可能性を検討する。
三井物産は、事業化に向けたサービス提供モデルを検討、企画する他、将来的にダイキングループと共同で推進する空調サービス事業会社のトータルサービス型ソリューションとしての展開も検討する。
ライオンは、口腔内のセンシングによる健康チェックや、メンタルヘルスケアを意識した空間創りなどを通じて、オフィスワーカーのヘルスケア、エチケットリテラシー向上に貢献する新製品、サービスの開発を目指す。
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