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数年以内に職場への導入が始まる6つの技術――Gartnerが解説チャットbotや仮想アシスタント、拡張アナリティクスなど

Gartnerは、2〜5年以内に広く導入されるようになると予想した6つの「デジタルワークプレース技術」について解説を公開した。いずれも職場での働き方を大きく変える可能性を秘めている。

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 Gartnerは2018年8月30日(米国時間)、7月に発表したハイプサイクルレポート「Hype Cycle for the Digital Workplace, 2018」(デジタルワークプレースのハイプサイクル:2018年)で「2〜5年以内に広く導入されるようになる」と予測した技術について、解説を公開した。

 同レポートは、合計40の技術を取り上げており、今後10年間にデジタルワークプレースのビジネスパフォーマンスにどのように影響するかを説明している。

 今回、そのうち6つの技術について解説した。「チャットbot」「仮想アシスタント」「拡張アナリティクス」「パーソナルアナリティクス」「市民データサイエンス」「適応型学習プラットフォーム」だ。


「Hype Cycle for the Digital Workplace, 2017」で発表した1年前の予測 「市民データサイエンス」などはまだ予測に含まれていなかった(出典:Gartner

普及が早い「チャットbot」と「仮想アシスタント」

 Gartnerのバイスプレジデント兼ディスティングイッシュドアナリストであるマシュー・カイン氏は、次のように述べている。

 「音声認識は2年以内に広範に普及する見込みであり、活用の効果を日常的に見ることができる。消費者や従業員がキーボードに触らずに、アプリケーションを操作する場面が増えている」

 「音声をテキストに変換するアプリケーションの普及が進んでいる背景には、企業がチャットbotや仮想パーソナルアシスタントを導入し、消費者がスマートフォン、ゲーム機、仮想パーソナルアシスタントとして機能するスピーカーなど、音声操作対応のデバイスを使うようになっていることが挙げられる」

 チャットbotと仮想アシスタントは、付加価値を加えて音声認識を実装した技術だ。仮想アシスタントは人工知能(AI)と機械学習(ML)を利用して、人々のサポートやタスクの自動化を行う。チャットbotと仮想アシスタントは、ユーザーの行動に耳を傾け、行動を観察して、データモデルを構築し、メンテナンスすることで、ユーザー行動の予測や推奨を行う。

 チャットbotは、今後数年間に急成長すると予想されている。Gartnerの「2018 CIO Survey」によると、会話インタフェース(チャットbotを含む)を導入済みの企業は4%に満たない。だが、38%の企業が会話インタフェースの実装を計画しているか、あるいはこの技術の試験利用を行っている。

 現在、チャットbotは主に顧客サービス分野で利用されているが、他の業務分野でも導入が進みそうだ。チャットbotがアプリケーションのインタフェースとして使われると、仕事のやり方が変わると、Gartnerは指摘している。「これまではユーザーがインタフェースを学習しなければならなかったが、チャットbotが、ユーザーの求めるものを学習するようになる」

データサイエンティストを超える「拡張アナリティクス」

 拡張アナリティクスとパーソナルアナリティクスにより、より多くの従業員がアナリティクスを利用できるようになる。「誰もが“市民データサイエンティスト”(業務を遂行しながら、データサイエンティストとしての役割も果たす従業員)になる機会を得る」とGartnerは述べている。

 拡張アナリティクスは自動化された機械学習を用いることで、データの作成、利用、共有の方法を変革する。データとアナリティクスのリーダーは、デジタルトランスフォーメーション戦略の一環として拡張アナリティクスを導入し、市民データサイエンティストやオペレーションワーカーなど、幅広いユーザーに高度な洞察を提供しなければならないと、Gartnerは提言している。

 Gartnerは2020年までに、主にデータサイエンスタスクの自動化に伴い、市民データサイエンティストが行う高度な分析の量が、専任のデータサイエンティストを上回ると予想している。

自分専用の予測が可能な「パーソナルアナリティクス」

 パーソナルアナリティクスは、個々人のコンテキストに基づいた関連データの分析だ。個々のユーザーのために、パーソナライズされた洞察、予測、推奨事項を提供することを目的としている。

 「パーソナルアナリティクスは、仮想パーソナルアシスタントのアナリティクスレイヤーだ。2020年までに広く導入されるようになるだろう。仮想パーソナルヘルスアシスタント、ファイナンシャルアドバイスアシスタント、ショッピングアシスタントといった形を取ると見られる」と、Gartnerのリサーチディレクターのニック・インゲルブレクト氏は述べている。

社内で役立つ「市民データサイエンス」

 市民データサイエンスは、2018年版レポートで初めて取り上げられた技術だ。市民データサイエンスは、次世代のアナリティクスの基盤を形作るという。

 「市民データサイエンスは、データサイエンスや機械学習による洞察を、より利用しやすくし、社内に行き渡らせるだろう。市民データサイエンスを支える中心的な技術は、先ほど紹介した拡張アナリティクスだ」と、Gartnerのリサーチディレクターを務めるカーリー・イドイン氏は説明する。

 Gartnerは、市民データサイエンスは、社内でデータサイエンス機能を実現し、広く展開する方法の重要な部分として、急速に存在感を増していくと予想している。

自分に合わせた最適な学びが得られる「適応型学習プラットフォーム」

 適応型学習プラットフォームは、教育コンテンツをユーザーに提供する方法を、ユーザーの反応や好みに基づいて調整する。従業員のデジタルデクステリティ(digital dexterity:デジタルを使いこなす力)を最大限に高めるために利用される。2〜5年以内に広く導入されるようになる見通しだ。

 「適応型学習プラットフォームは、職場での学習をサポートし、補完する重要な方法を提供するが、実装が難しい。CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)は、大規模なカリキュラム再設計の取り組みとして、適応型学習プロジェクトを進めるべきだ」と、Gartnerのリサーチディレクターを務めるグレンダ・モーガン氏は述べている。

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