観光地の“地域データ×人流データ”を観光マーケティングに活用――松江市と日本ユニシスが共同実証
島根県松江市と日本ユニシスは、地域データと人流データを組み合わせた観光マーケティング手法の実証実験を開始する。WebやSNSの観光に関するデータと、日本ユニシスの「人流解析サービス JINRYU」で得た観光地の人流データをAIで統合し、観光施策の立案などに活用する。
島根県松江市と日本ユニシスは、松江市の地域データと日本ユニシスの「人流解析サービス JINRYU」(以下、JINRYU)で得た人流データを組み合わせ、観光施策の立案に役立てる実証実験を開始する。実証実験は、2018年8月29日から12月20日までで、松江歴史館や松江駅、松江城、塩見縄手周辺などで行う予定。
国宝の松江城や松江歴史館、宍道湖などの観光資源を有する松江市は、市の統計データや統計関連図書情報のオープンデータ化、地域の歴史資料を地理情報とひも付けてデジタルアーカイブ化した「松江G空間ミュージアム」を開設するなど、データを活用した観光・文化振興の取り組みを推進している。
今回、その一環として、データを活用した観光マーケティング方法の確立を目指し、松江市のオープンデータやタウン情報サイト「Lazuda(ラズダ)」、SNSデータなど、さまざまな機関が発信する松江市の地域データと、JINRYUで採取した人流データ(行動動線、年齢・性別などの属性)を、データ収集基盤でAI(機械学習)を活用して統合し、地域データベースを構築する。
統合した地域データは、データ分析に基づく観光客の動向把握や観光施策立案に活用する他、スマホ向け観光アプリで地図情報と合わせて観光客に提供し、観光客支援に役立て、それらの有効性を検証する。
また、松江歴史館で行う実証実験では、集約した観光情報とJINRYUの人流データから来場者数を予測する手法の有効性も検証する。
なお、JINRYUは、カメラに併設する小型コンピュータ(エッジコンピュータ)上でカメラ映像の人物や顔を認識して動線、年齢・性別などを推定し、日本ユニシスグループが提供する「IoTビジネスプラットフォーム」上で可視化、分析するクラウドサービス。個人を特定できない映像解析データのみをクラウドに送信し、解析後の映像データは保存せずに破棄するため、個人情報漏えいのリスクが低い他、基盤としている「Microsoft Azure」のデバイス運用管理機能やAPIによる拡張性なども備えている。
松江市と日本ユニシスでは、実証実験で得られた知見を基に、地域データの収集・活用と施策の効果測定を円滑に実行できる仕組みをつくり、データに基づく観光マーケティングの継続した実施を目指す。また、観光分野だけでなく、防災や少子化などの社会課題にも、実証実験で得られた知見の活用を検討していく。
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