高齢化進む“オールドニュータウン”の“足”に自動運転サービスを――日本総研、神戸市などとコンソーシアムを設立
日本総合研究所は、自動運転車による高齢者などの移動支援サービスの提供を目指す「まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアム」を設立。高齢化したニュータウンの新たな住民サービスとして検討する神戸市などが協力し、2020年度の事業化に向けて、仕様や事業モデルを検討する。
日本総合研究所(日本総研)は2018年8月29日、自動運転技術を活用して高齢者などの近隣移動をサポートする「まちなか自動移動サービス」の事業化に向け、「まちなか自動移動サービス事業構想コンソーシアム」を設立した。2020年度の事業化を目指し、サービス導入を検討する自治会や自治体、地域の交通事業者などともに、産官学民連携で事業構想を策定する。
まちなか自動移動サービスは、高齢化が進む郊外のニュータウンなどでの利用を念頭に置いた、乗合制の移動支援サービス。決められたルートを自動運転車が走行して、地域の店舗や公共施設、病院、バス停などへの住民の移動を支援する。専用のスマホアプリなどで、決められた乗降ポイントの中から乗車と降車の場所を指定して利用する。
運行速度は時速30キロ以下で、安全対策として、車内外の状況や車両状況などは管制センターで遠隔監視するとともに、見通しの悪い交差点では道路側にセンサーなどを設置して安全を確認する機能の提供を想定している。
市販の車両に自動運転システムを組み込み、導入や維持にかかる費用を低減する他、移動サービスの運営を通じて取得されるデータを活用して、店舗への販促支援や情報配信など、移動に関連した付加価値を提供する計画もある。
同コンソーシアムでは今後、ワークショップや実証実験を行いながら、サービスの社会実装に必要な車両やシステムの仕様、事業モデルなどを検討していく。活動期間は2018年8月29日から2019年3月31日までの予定で、日本総研では同コンソーシアムでの成果を踏まえ、賛同する企業とともに、2020年度に事業体を設立し、同サービスを各地の自治会や地域に導入するための支援を開始するとしている。
同コンソーシアムには、あいおいニッセイ同和損害保険、NTTデータ、沖電気工業、関西電力、電通などが参画。オブザーバーとして日本自動車研究所も参与する。協力会員として神戸市、神戸市北区筑紫が丘自治会、みなと観光バスなどの地域の交通事業者が参加する。
なお、神戸市では、市内に50以上存在するニュータウンの高齢化や人口減少、高齢者の移動手段の確保といった課題の解決を目指しており、2016年以降、筑紫が丘地区で自動運転車による住民の移動サービスの実証実験を重ねている。
2017年11月7日から12月24日には、神戸自動走行研究会(代表:みなと観光バス)、日本総研、NTTドコモ、群馬大などとともに、同地区で有人の自動運転車両による移動サービスを地域住民に体験してもらう実証実験を実施。神戸市によると、300人以上が利用登録し、坂道の上り下りを中心に1日当たり最大60人の利用があったという。移動の利便性向上、地域コミュニティーに参加するきっかけづくり、防犯などに加え、地域スーパーの利用率増加などの効果が確認できたという。
今回のコンソーシアム設立により、神戸市での自動運転移動サービスの実現に向けた検証はさらに深化が見込まれる。
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