ネットワーク構成の可視化ツール、ハイブリッドクラウド環境も対象に:RFCで定義された新しいデータモデルを利用
TISとフィックスポイントは共同で、ネットワーク構成の可視化、分析ツールを開発する。ネットワーク構成情報を自動収集し、ネットワーク運用業務の効率化を目指す。成果物は、オープンソースとして公開する予定。
TISとフィックスポイントは2018年10月17日、「標準トポロジモデルを応用したネットワーク構成の可視化に関する研究」を共同で開始すると発表した。ネットワーク構成の可視化、分析ツールを開発し、オープンソースソフトウェア(OSS)として2019年6月ごろにGitHubで公開する予定だ。導入、実証実験の協力先や技術協力先も募る。
TISのネットワーク運用自動化やシステムモデリングに関する基礎技術と、フィックスポイントのシステム構成自動収集サービス「Kompira cloud Sonar(Kc Sonar)」を組み合わせて、標準モデルに基づいたネットワーク構成情報を自動収集し、可視化する。
実証実験ではオンプレミス環境やクラウド環境に対して開発したツールを適用、効果を測定し、フィードバックにより改善を重ねる計画だ。
共同研究の目的は、これまで人手に頼っていたネットワーク運用業務の効率化を目指すこと。複雑なネットワークに障害が発生したときの影響を確認するといった応用ももくろむ。
これまで単一製品では管理が難しかったハイブリッドクラウド環境なども対象にする。複数のサービスや領域をまたがるようなネットワークシステムへの応用も目指す。
標準トポロジモデルを利用する
今回の開発の下敷きとなる標準トポロジモデルとは、インターネット技術の標準化団体であるIETF(Internet Engineering Task Force)が2018年3月に発行したRFC 8345「A YANG Data Model for Network Topologies」とRFC 8346「A YANG Data Model for Layer 3 Topologies」で定義されたデータモデル。ネットワーク構成図に記述される機器間の接続情報などのデータを表現する。
今回の研究で開発するツールは、Kc Sonarで収集したネットワーク構成情報を、標準モデル形式で出力する。ネットワーク図を起点とするユースケースに基づいて生成したデータを可視化し、ネットワーク情報やモデルを評価する。
Kc Sonarは、エージェント不要の構成管理サービス。ネットワーク内のノード情報を自動収集する他、OSにインスートールされたパッケージやWindowsアップデートの履歴などを管理する機能を備える。全ネットワークレイヤーの全機器について、オンプレミスやクラウドに関わらず構成情報を収集できる。
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