コネクテッドビークル関連サービス、車両診断と運行管理サービスに高い顧客価値――IDC調べ
車の所有者となる事業者ユーザーにとって、ネットワークに常時接続するコネクテッドビークルの関連サービスを実現する機能のうち、「車両診断/通知」と「車両/運行管理」に関する機能が需要も価値認識もことが分かった。
IDC Japanは2018年10月24日、国内の事業者ユーザーを対象にしたコネクテッドビークル関連サービスについての顧客価値分析結果を発表した。
同調査は、トラックや営業車などの業務車両を管理する事業者ユーザーを対象に、自動車が車外のネットワークと移動体通信で常時接続するコネクテッドビークルに関するサービスの機能性について、顧客価値を分析したもの。
調査対象者は、勤務先の社有車に対する立場が「運転者」(業務として運転する者)か「管理者」(運転者を管理する者、社有車を管理する者、経営者/部門責任者)に当たる人とし、コネクテッドビークル関連サービスのうち、「運転上の安全/安心サポート」「効率の良い移動サポート」「車両/運行管理」「車両診断/通知」「仕事関連作業サポート」「インフォテインメント」「生活関連作業サポート」の7つのサービスについて、有償契約意向(需要レベル)とサービスの価格イメージを尋ね、回答結果に基づくPSM(価格感度測定法)分析でサービスの「最適価格」(価値認識レベル)を算出し、顧客価値を分析した。
「車両診断/通知」機能は扱い例に反して顧客価値が高い
調査結果によると、既存の事業者ユーザー向けコネクテッドビークル関連サービスでの扱い例が少ない「車両診断/通知」機能が、需要レベル、価値認識レベルともに高く、特に「管理者」の価値認識レベルは7つのサービスのうちトップであることが分かった。
企業全体の信用問題に直結する車両不具合による事故を防ぐ「車両診断/通知」機能は、レピュテーションリスクを下げる有効な手段になる。
「車両/運行管理」機能は管理者にも運転者にも価値が高い
また、主に運行管理者や車両管理部門にメリットを提供する「車両/運行管理」機能は、「管理者」だけでなく「運転者」にも、需要レベル、価値認識レベルともに高い結果となった。
国土交通省が管轄する運行管理制度は漸次的に強化されており、運輸産業を中心に、運行管理サービスの導入による企業の負担軽減の意義は大きいと指摘。
産業分野別に見ると、「仕事関連作業サポート」機能の需要が建設/土木産業で高く、現場の作業の特殊性を踏まえた業務をサポートする機能が求められている。
故障予知や産業特化型サービスに、ITサプライヤーの事業機会拡大か
IDCでは、今後、現在の車両状態の診断だけでなく、将来の不具合を予測する「故障予知」機能が、事故リスクを下げる有効なソリューションとして受け入れられる可能性が高いと分析。故障予知ソリューションは、特にビッグデータ分析やAIに強みを持つITサプライヤーにとって事業機会が大きいと見ている。
また、運輸や建設/土木などのように、事業の性質と車両の機能性との関係が密接な産業分野に向けた「産業特化型」サービスや、顧客の利便性向上やコスト抑制を実現する「社外用途」ソリューション領域でも、ITサプライヤーの事業機会の潜在性が大きいと予測。
ITサプライヤーは、特定産業・業種の現場の事情に通じる企業とのアプリケーション共同開発体制の整備や、自動運転車の事業活用における新しいユースケース開発に向けたPoC(Proof of Concept:概念実証)の実施など、これらの領域における技術提案に備えた取り組みに早い段階で着手すべきと指摘している。
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