AIを使った顔認証でチケット転売防止と円滑入場、宇多田ヒカルのコンサートに導入:目視による身分確認より時間を最大50%短縮可能に
NECらは、AIを用いた顔認証システムを開発し、宇多田ヒカルのコンサートツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」に導入する。
NECとNECソリューションイノベータは2018年11月8日、アーティストのチケッティング業務を行うテイパーズと協力して、顔認証AI(人工知能)エンジン「NeoFace」を用いた本人確認システムを、コンサートのチケット転売防止や円滑な入場に向けて導入すると発表した。顔写真付きの身分証明書を係員が目視で確認する方法と比べて、利用客の入場にかかる時間を最大50%短縮できるという。
同システムは、NECが開発したNeoFaceを用いて、NECソリューションイノベータが構築した。NeoFaceは、顔を利用する生体認証システム。顔認証は、認証される人が拘束されたり、機器に触れたりする必要がなく、特別な操作も不要。さらに照合時の顔データを管理者が目視で簡単に確認できるなど、利便性が高い。ディープラーニング技術を応用することで、顔の向きの変化や解像度が低い顔画像にも対応できるという。
今回導入するシステムは、NeoFaceの最新版を用いており、照明条件や顔の角度、カメラとの距離が異なる多様な条件下での本人確認の精度を高めたとしている。2018年11月6日から行われている宇多田ヒカルのコンサートツアー「Hikaru Utada Laughter in the Dark Tour 2018」で活用する。
NECがテイパーズと協力して、顔認証技術を用いた本人確認システムをコンサート会場に日本で初めて導入したのは2014年。その後4年間で約110万人の認証に利用され、チケット転売を防止する効果が得られたという。
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