2019年にウォッチすべきデータ/アナリティクス技術の10大トレンドとは――Gartner:最新トレンド技術のビジネスへの活用を推奨
Gartnerのアナリストがオーストラリアで開催されたイベントで、拡張アナリティクスや継続的インテリジェンス、説明可能なAIなど、2019年のデータおよびアナリティクス技術の10大トレンドを解説した。
Gartnerのアナリストは2019年2月18日(現地時間)、オーストラリアのシドニーで開催された「Gartner Data & Analytics Summit」で、2019年のデータおよびアナリティクス技術の10大トレンドを解説した。
Gartnerのアナリストは、「データとアナリティクスの担当リーダーは、これらのトレンドがビジネスに与え得る影響を検討し、それを踏まえてビジネスモデルやオペレーションを調整する必要がある」と指摘。さらに、これらのリーダーがビジネス統括役員とビジネス上の優先事項について話し合い、これらのトレンドをどのように活用できるかを探ることを勧めている。
データおよびアナリティクス技術の10大トレンドの概要は以下の通り。
トレンド1:拡張アナリティクス
Gartnerは「拡張アナリティクス」を、「データおよびアナリティクス市場におけるディスラプション(創造的破壊)の次の波」と位置付けている。拡張アナリティクスは、機械学習(ML)と人工知能(AI)技術を利用して、アナリティクスコンテンツの開発、利用、共有の方法を変革するという。
2020年までに拡張アナリティクスは、アナリティクスやBI(ビジネスインテリジェンス)に加え、データサイエンス、MLプラットフォーム、組み込みアナリティクスといった分野で新規購入の大きな動機になるだろうと、Gartnerは予想する。
トレンド2:拡張データ管理
「拡張データ管理」は、ML機能とAIエンジンを利用して、エンタープライズ情報管理のさまざまなカテゴリーで自己構成と自己チューニングを可能にする。これらのカテゴリーにはデータ品質管理、メタデータ管理、マスターデータ管理、データ統合、データベース管理システム(DBMS)が含まれる。
拡張データ管理は手動のタスクの多くを自動化し、技術スキルの乏しいユーザーがより自由にデータを利用できるようにする。また、スキルの高い技術者がより価値の高いタスクに集中的に取り組めるようにする。
拡張データ管理が実現する動的なシステムは、メタデータによって支えられる。メタデータはAI/MLの大きな原動力になる。
2022年末までにデータ管理の手動タスクは、MLと自動サービスレベル管理により、45%削減される見通しだという。
トレンド3:継続的インテリジェンス
Gartnerは、2022年までに、主要な新規ビジネスシステムの過半数が、リアルタイムコンテキストデータを使ってより良い意思決定を実現する「継続的インテリジェンス」機能を備えると予想している。
継続的インテリジェンスは、リアルタイムアナリティクスのビジネスオペレーションへの統合により、イベントに対応して現在および過去のデータを処理し、アクションを導き出す設計パターンだ。これによって意思決定の自動化や支援を行う。継続的インテリジェンスでは、拡張アナリティクス、イベントストリーム処理、最適化、ビジネスルール管理、MLといったさまざまな技術が利用される。
トレンド4:説明可能なAI
AIモデルは、人間の意思決定を拡張または代替するために、ますます利用されている。だが、一部のシナリオで企業は、AIモデルが意思決定に至る過程の正当性を証明しなければならない。アプリケーションリーダーがユーザーやステークホルダーの信頼を構築するには、AIモデルの解釈可能性や説明可能性を高める必要がある。
残念ながら、こうした高度なAIモデルの多くは、ブラックボックスであり、これらのモデルが特定の推奨や意思決定をなぜ行ったのかは説明できない。だが、データサイエンスやMLプラットフォームにおける「説明可能なAI」は、モデルの正確さ、属性、統計情報、機能に関する自然言語による説明を自動生成する。
トレンド5:グラフ
「グラフアナリティクス」は、組織や人々、取引といったエンティティ間の関係を探索するための一連の分析技術によって構成される。
グラフ処理やグラフDBMSのアプリケーションは、2022年まで年平均100%のペースで成長する見通しだ。これらは、データ準備を継続的にスピードアップしたり、より複雑で適応性の高いデータサイエンスを実現したりするために使用される。
Gartnerによると、グラフデータストアを使えば、データサイロ間の複雑な関係に関するモデリング、探索、データクエリを効率的に行える。だが、そのためには特別なスキルが必要なため、これまでグラフデータストアの利用はあまり進まなかった。
グラフアナリティクスは今後数年間、複雑なデータに関する、複雑な問い合わせを実行するニーズを背景に、利用が拡大する見込みだ。こうした問い合わせの場合、SQLクエリを使って行うのは必ずしも実用的ではなく、むしろSQLクエリを使って大規模に行うことは難しいという。
トレンド6:データファブリック
「データファブリック」は、分散データ環境におけるデータの容易なアクセスと共有を可能にする。これは、単一の一貫性のあるデータ管理フレームワークによって実現する。
2022年まで、カスタムデータファブリック設計が主に静的インフラとして導入されるだろう。しかし企業はその後、動的なデータメッシュアプローチを可能にする全面的な再構築のために、新たな投資を迫られることになりそうだ。
トレンド7:自然言語処理/会話アナリティクス
2020年までに、分析クエリの50%は検索、自然言語処理(NLP)、音声による生成、自動生成になる見通しだ。データの複雑な組み合わせを分析したり、アナリティクスを社内の誰でも利用できたりするようにする必要性から、アナリティクスツールは検索インタフェースや、仮想アシスタントとの会話のように簡単なものになる。
トレンド8:商用AIおよびML
Gartnerは2022年までに、AIやML技術を利用した新しいエンドユーザー向けソリューションの75%が、オープンソースプラットフォームではなく、商用ソリューションで構築されると予想している。
商用ベンダーは、オープンソースエコシステムとのつながりを既に築いており、AIやMLのスケーリングと民主化に必要なエンタープライズ機能を提供している。その中には、プロジェクトやモデルの管理、再利用、透明性、データリネージ、プラットフォームの統合性などが含まれる。
トレンド9:ブロックチェーン
ブロックチェーンや分散台帳技術の中核的な価値提案は、信頼関係のない参加者間のネットワーク全体で、分散型の信頼を実現することにある。この技術のアナリティクスへの応用効果は、大きな可能性を持っている。
だが、4つか5つの主要なブロックチェーン技術のいずれかが市場で優位性を確立するまでには数年かかる。それまでは、エンドユーザー企業がブロックチェーン技術を使用するには、関連する統合作業が必要になり、そのコストは潜在的なメリットを上回る。また、ブロックチェーンは、データベースではなくデータソースであり、既存のデータ管理技術に取って代わることはない。
トレンド10:永続メモリサーバ
新しい永続メモリ技術が、インメモリコンピューティング(IMC)対応アーキテクチャの導入に伴うコストや複雑さの軽減に貢献するようになると、Gartnerは予想している。永続メモリは、DRAMとNANDフラッシュメモリの間の新しいメモリ層を指す。高パフォーマンスワークロードのための経済的なメモリとして大容量で使用される。永続メモリは、アプリケーションのパフォーマンス、可用性、起動速度、クラスタリング方法、セキュリティ対策を、コストを抑えながら向上させる可能性がある。また、データの二重化の必要性を減らし、アプリケーションおよびデータアーキテクチャの複雑さの軽減に役立つ見込みだ。
Gartnerのアナリストは、「データ量が急速に増大し、データをリアルタイムに価値変換する必要性も同じく急速に高まっていることから、新しいサーバワークロードのためにCPU性能の向上に加えて、大容量メモリと高速ストレージも求められている」と説明している。
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