由来がはっきりしないWindowsの“謎”仕様──Windowsの雑学(諸説あります):その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(133)(1/3 ページ)
多くの企業では新年度も始まったことですので、今回はIT系企業に入社した新人さん向けに“知らなくてもいい雑学”をご用意しました。昔からよく話題になることばかりかもしれませんが、その由来について思いを巡らせることは、コンピュータの歴史を知る良い機会になると思います。
Windowsに古くからある“謎”
Windowsには古くから、幾つかその由来がはっきりしない“謎”が存在します。事実かどうかは別として、その由来に思い当たるものがあると気にならない、ちょっとしたことです。しかし、最近のWindowsしか使ったことがないユーザーにとっては、とても気になることかもしれません。
先に断っておきますが、どれも確証のない、諸説ある中の一つ、または幾つかの説にすぎません。中には筆者のこじつけも……。信じるか信じないかはあなた次第。いや、信じなくていいです。
[謎その1]Windowsのファイルシステムの区切り文字が「¥」なのは、あまのじゃくだったから?
Windowsのファイルシステムの区切り文字といえば「¥(円記号)」です。レジストリのパスの区切り文字も「¥」です(画面1)。
ただし、コマンドプロンプトやWindows PowerShellでファイルやレジストリ操作することがなく、Windows標準のGUI(エクスプローラーや検索機能など)だけを使っている人にとってはどうでもよいことですし、気が付いていないかもしれません。
筆者自身、数十年前に初めてパソコンを触ったころ、あるいはメインフレームのダム端末で研修を受けたころ、パス指定は極めて難解であり、呪文にしか見えなかった覚えがあります。
実は、Windowsの区切り文字が「¥」というのは、日本語版のWindowsだけのことです。システムロケールが「日本語(ja-jp)」またはコードページが「日本語シフトJIS」で、表示フォントが「日本語フォント(MSゴシックなど)」の場合と言ってもいいかもしれません。
そんなことも知らずに、やれ“アーティストはMacに限る”だとか、“世界標準はLinux”だとか、“企業ならWindowsでしょ”だなんて、ほざいている輩がいかに多いことか(冗談です)。
Windows標準の区切り文字は「¥」ではなく、半角の「\」(逆斜線、バックスラッシュ、backslash、reverse solidus)です(画面2)。
どちらもASCII文字コード「5C(0x5C)」ですが、日本語シフトJISの文字コード表ではその場所に「¥」が割り当てられたため、日本語版Windowsでは区切り文字が「¥」と表示されることになってしまいました。
日本語版Windowsを使っている上では違和感はありませんが、韓国語版だと区切り文字はウォン記号(₩)で表示されます。日本語版や英語版に慣れている人にとっては、ウォン記号の区切り文字の前後に「W」(Windowsなど)があると、とても違和感があります。きっと韓国の方は見慣れていることでしょう(画面3)。その他の国は、おそらくバックスラッシュ表示だと思いますが、実際に目にしたわけではないので確証があるわけではありません。
Windowsが登場する前のDOS(Disk Operating System、PC-DOSやMS-DOS)が開発された当時、企業への導入が始まったころのコンピュータ(ミニコン、オフコン)の主流OSはベンダーの独自OSがほとんどで、その後、UNIXへとオープン化が進みました。UNIXのファイルシステムの区切り文字は「/」(斜線、スラッシュ、slash、solidus)であり、その後、インターネット上にあるリソースの場所を示すURI(Uniform Resource Identifier)やLinuxにも引き継がれました(後出の画面7を参照)。
UNIXに対する皮肉を込めたオマージュなのでしょうか、あるいは反骨精神なのでしょうか。それをあえて逆にした、これがWindowsの区切り文字がバックスラッシュになったゆえんです……というのは全くの冗談です。
DOSをIBMが開発した当初(後にMicrosoftも参加)、コマンドのスイッチに「/」を使用するという方針があったため、区切り文字に「/」を使う余地がなかったという説が有力のようです。
ちなみに、UNIXにおけるコマンドのスイッチは「-」(ハイフン)で、バックスラッシュはUNIXシェルや正規表現環境で、エスケープしなければならない特殊な文字の一つでした。最近では、Windowsのコマンドでも「/」と「-」の両方を使えるものが多く、Windows PowerShellのコマンドレットでは「-」を採用しています。
しかし、コマンドプロンプト(cmd.exe)に組み込まれているコマンド(MKDIR、RMDIR、COPY、DIRなど)は、今でもスイッチとして「/」のみを受け付けます。コマンドプロンプトで「DIR /?」と「DIR -?」を実行してその違いを確認してみてください。
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