Microsoftが.NET向け機械学習フレームワーク「ML.NET 1.0 RC」を公開:95%のAPIを固定
Microsoftは、.NET開発者向けの機械学習フレームワークのリリース候補版「ML.NET 1.0 RC」をオープンソースソフトウェアとして公開した。主要なAPIの機能変更を終えており、クロスプラットフォームで利用できる。
Microsoftは2019年4月5日(米国時間)、.NET開発者向けの機械学習フレームワークのリリース候補版「ML.NET 1.0 RC(Release Candidate)」をオープンソースソフトウェアとして公開した。2019年第2四半期に公開を予定する正式版「ML.NET 1.0 RTM(Release to Manufacturing)」に先行する最後のプレビュー版だ。
WindowsとLinux、macOSに対応したML.NETを使うことで、開発者は既存のツールやスキルを用いてカスタムAIを開発し、アプリケーションに組み込むことができる。感情分析やレコメンデーション、画像分類といった一般的なシナリオのためのカスタム機械学習(ML)モデルの作成が可能だ。
ML.NETは、2018年5月に「ML.NET 0.1」として初めて発表され、直近では2019年3月に「ML.NET 0.11」が公開されている。ML.NET 1.0 RCをもって主要なAPIの変更を終え、今後はドキュメントとサンプルの充実が図られる他、必要に応じて重大な課題への対処が進められる。
ML.NET 1.0 RCでの変更点は次の通り。
ML.NETパッケージにおける安定版とプレビュー版の区別
ML.NET 1.0では、95%程度の機能が安定版としてリリースされる。これらの機能はML.NET 1.0 RCでは、「version 1.0.0-preview」パッケージに分類されている。
だが、ML.NET 1.0のリリース時に一部の機能は完成状態にならない。このようにプレビュー段階が継続される機能は、ML.NET 1.0 RCでは、「0.12.0-preview」パッケージとして分類されている。
ML.NET 1.0のリリース後もプレビュー段階となるパッケージの主な例を挙げる。
- TensorFlowコンポーネント。TensorFlowは、ディープラーニングシナリオに使用されるオープンソースの機械学習フレームワーク
- ONNXコンポーネント。ONNXは、あるフレームワークでトレーニングしたモデルを別のフレームワークで使用するためのオープンで相互運用可能なモデル形式
- TimeSeriesコンポーネント
- レコメンデーションコンポーネント
安定版とプレビュー版の区別以外に、ML.NET 1.0 RCでは、「IDataView」がMicrosoft.ML名前空間に移行したり、ML.NET 0.11に残っていたTensorFlowサポート上の問題を解決したりしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Microsoftが.NET用オープンソース機械学習フレームワークの最新版「ML.NET 0.11」を公開
オープンソースの.NET開発者向けクロスプラットフォーム機械学習フレームワークの最新版「ML.NET 0.11」をMicrosoftが公開した。Windowsの次期アップデートで「ONNX」ベースのAIモデルがネイティブに実行可能に
Microsoftは、Windowsの次期メジャーアップデートで、ディープラーニングモデルのオープン標準フォーマット「ONNX」に基づくAIモデルが、「ハードウェアアクセラレーションを使用してネイティブに実行可能になる」と明らかにした。機械学習関連で最も人気があるのはPython/NumPy/TensorFlow――GitHubが調査
GitHubによれば、2018年に最もコントリビューションが多かった機械学習関連プロジェクトはTensorFlowだった。機械学習向けで人気のプログラム言語はPythonで、最も利用されているPython向けライブラリはNumPyだった。Julia言語へのコントリビューションも多かった。