Azureの各種サービスでTLS 1.2対応が必須要件に:Microsoft Azure最新機能フォローアップ(87)
プロトコルの脆弱(ぜいじゃく)性の問題から、レガシーなSSL 3.0やTLS 1.0/1.1を無効化し、より安全なTLS 1.2以降を使用することが推奨されています。常時SSL化され、TLS 1.2以降での接続を要求するWebサイトやサービスも増えてきました。SSL/TLSはMicrosoft Azureのサービスへの接続やデータ転送の保護に重要なプロトコルですが、業界の流れと同様に、各サービスでレガシーなプロトコルの廃止が進んでいます。
Cloud App Securityは2019年9月にTLS 1.0/1.1のサポートを終了
2019年7月末、Microsoft Cloud App Securityチームが公式ブログにおいて、「Microsoft Cloud App Security」におけるTLS 1.0/1.1のサポートを2019年9月8日(米国時間)に終了することを発表しました。
- End of support for TLS 1.0 and 1.1 in Microsoft Cloud App Security[英語](Enterprise Mobility+Security Blog)
Cloud App Securityは、企業や組織でエンドユーザーが利用しているクラウドアプリの検出とそのリスク評価(シャドーITの検出)、アプリの条件付きアクセス制御、リアルタイム監視、異常なアクティビティーの検出などを行えるクラウドベースのサービスです。
Cloud App SecurityのTLS 1.0/1.1サポート終了とは、TLS 1.2以降を利用できない場合にエージェントやログコレクターがサービスに接続できなくなる、サービスのAPIを利用するカスタムアプリケーションやコードがAPIのエンドポイントに接続できなくなるという影響があります。また、条件付きアクセス制御の対象となるクラウドアプリもTLS 1.2以降に対応していることが必須になります。
Windows OSや.NET FrameworkアプリのTLS 1.2対応状況と、有効化の方法については、以下のJapan IE Support Team Blogの投稿や公式ドキュメント(Microsoft Docs)にまとめられているので参考にしてください。
- .NET FrameworkでTLS 1.1および1.2を有効化する方法 -まとめ-(Japan IE Support Team Blog)
- トランスポート層セキュリティ(TLS)レジストリ設定(Microsoft Docs)
TLS 1.1の有効化についても説明されていますが、OSや.NET Frameworkのさまざまなバージョンの組み合わせにおけるTLS 1.2の有効化の部分に注目してください。特に、レガシーなWindows 7、Windows Server 2008 R2、Windows Server 2008 Service Pack 2(SP2)は、OSとしてはTLS 1.2に対応していますが、レジストリを作成して有効化しないとアプリケーションでTLS 1.2を利用できない場合があるので注意が必要です。
Update Managementは既にTLS 1.2対応が必須要件に
Cloud App Securityのように、事前にアナウンスがある場合もありますが、Microsoft Azureの他のサービスでも今後、TLS 1.2以降が必須化される流れにあることは間違いありません。既にTLS 1.2以降の使用の強制が開始されているものもあります。
Azure仮想マシンとオンプレミスのWindows/Linuxの更新管理が可能な「Azure Update Management」(更新プログラムの管理)では、筆者が確認した限り、2019年7月末時点でエージェントからサービスエンドポイントへの接続にTLS 1.2が要求されるようになったようです(正式なアナウンスはありません)。
Windows Server 2008 R2およびSQL Server 2008 R2を実行するAzure仮想マシンにおいて、7月末にUpdate Managementのエージェントが「切断」された状態になっているのを見て気が付きました(画面1)。7月上旬のセキュリティ更新の際は確かに正常な状態でした。
「トラブルシューティング」リンクから「エージェントの更新のトラブルシューティング」のチェックを実行すると、前提条件の「TLS 1.2」が失敗し、エンドポイントに接続できない状態にあることが分かります(画面2)。
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