VMware、「Pivotal買収につながる可能性のある協議」を開始と発表:Kubernetesへの取り組みに関連
VMwareは2019年8月14日(米国時間)、「Pivotalの買収につながる可能性のある協議」を2社が始めたことを、明らかにした。あくまでも「買収につながる可能性のある協議」であり、何らかの決定がなされたわけではない。
VMwareは2019年8月14日(米国時間)、「Pivotalの買収につながる可能性のある協議」を2社が始めたことを、プレスリリースで明らかにした。同日に、関連書類を米国証券取引委員会に提出したという。あくまでも「買収につながる可能性のある協議」であり、何らかの決定がなされたわけではない。
プレスリリースは簡潔なもので、次のように述べている。
「VMwareは、当社の戦略を加速するパートナーシップや買収の可能性を、常に検討している。Pivotalは長期的な戦略パートナーであり、2社は既に、企業におけるアプリケーション開発およびインフラのトランスフォーメーション支援で協業し、成功を収めている。VMwareの取締役会は、従来通りあらゆる株主の利益最大化に向けて行動していく。潜在的取引に関する何らかの合意がなされるかどうかは保証しない。VMwareは本件について、確定的合意がなされない限り、または確定的合意がなされるまで、今後情報を提供するつもりはない」
PivotalはVMwareとEMCが、それぞれの一部事業をスピンアウトする形で、2013年に設立した企業。その後DellとEMCの統合などがあったが、VMwareとPivotalは共にDell Technologiesグループ企業として協業している。
PivotalはPaaSのオープンソースソフトウェア(OSS)である「Cloud Foundry」をベースとした製品「Pivotal Application Service(PAS)」や、FaaS製品「Pivotal Function Service」を展開。さらにコンテナオーケストレーションのOSS、Kubernetesをベースとした製品「Pivotal Container Service(PKS)」を提供し、コンサルティングなどのサービスを展開している。
このうちPKSは、PivotalとVMwareが共同開発し、双方が販売している製品だ。売り上げは2社の間で折半されているという。
また、VMwareは2018年11月、Kubernetesの有力ベンダー、Heptioを買収した。そしてVMwareとPivotalは2019年2月、PKSにHeptioの技術や製品を統合し、新たなPKS製品ファミリーを発表した。
これらを考え合わせると、上記プレスリリースが、「2社は既に、企業におけるアプリケーション開発およびインフラのトランスフォーメーション支援で協業している」としているのは、無理な表現ではない。「VMwareがPivotalの買収を検討」は、上記の延長線上の動きとして捉えられる。
Pivotal CEOのロブ・ミー氏は2018年末、筆者によるインタビューで、次のように話していた。
「現在のところ、Kubernetesは偏在的なインフラとなるには至っていない。まだ、APIをそのまま使うだけでは十分でなく、(運用を支援する)付加機能が求められている。このため、Kubernetes製品を、Pivotalが単独で提供するのは適切でないし、インフラ提供者であるVMwareが単独で提供するのも適切とはいえない。従って2社は一緒になって製品を構築し、市場に提供している。しかし長期的にはKubernetesが事実上のインフラとなり、どこでも使えるものになって、誰もがその上で(アプリケーションなどの)構築を進めるようになる。そうなると、KubernetesはPivotalよりも、VMwareにとってはるかに重要なものになってくる。いつの日かKubernetesはコモディティ化し、Pivotalが提供する必要はなくなるだろう。そうなればありがたい。ベストなKubernetes製品を生み出すために取られているリソースを、より高いレイヤーの活動に振り向けることができるからだ」
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