IoT、ロボット、スマートデバイス、VR――どんどん複雑化するソフトウェアテスト、20年後はどうなる?:NICTが開発している無線通信用のテスト環境とは(1/3 ページ)
2019年8月29〜31日に開催された「builderscon tokyo 2019」のセッション「20年後のソフトウェアテストの話をしよう」で、情報通信研究機構の湯村翼氏がセンサーデータや物理的な情報を取り込むためのさまざまなテスト技術を説明した。
スマートフォンは誰もが使って当たり前。家庭にもスマートデバイスが導入されるようになり、VR(仮想現実)による新しいユーザー体験も始まりつつある……。そんな今の環境を、果たして20年前に想像できた人はいただろうか。そして、この先20年でテクノロジーがどのように変化するか、想像することはできるだろうか。
情報通信研究機構(NICT)の湯村翼氏は、2019年8月29〜31日に開催された「builderscon tokyo 2019」で「20年後のソフトウェアテストの話をしよう」と題し、この楽しくもあり、難しい作業を「ソフトウェアテスト」の観点から俯瞰(ふかん)した。
湯村氏はNICTでユビキタスコンピューティングの研究に携わっている。このNICTには、約1000台の物理ノードから構成されるネットワークテストベッド「StarBED」がある。NICTはStarBEDによって、実環境に及ぼす影響が多大でインターネットでの検証が難しいルーティングプロトコルやマルウェアなど、さまざまな技術向けのテスト環境を提供してきたという。
物理世界に影響を及ぼすソフトウェアのテストに仮想空間を活用
湯村氏は20年後を予測する前に、まず20年前を振り返ってみた。1999年前後といえば、「PHS」「iモード携帯」が登場し、モバイルデバイスが進化し始めていた時期。PCの世界では「Windows 2000」「Windows XP」がリリースされ、本格的に一般家庭に普及していった頃だ。
参考記事:Windows 2000とは何か?/Windows XPとは何か?
時は流れて20年後の現在、スマートフォンは完全に普及期に入っており、それに続いてウェアラブルコンピューティングやユビキタスコンピューティングが登場し始めている。また、Amazon Echoのようなスマートスピーカーが家庭に浸透し始め、ヘッドマウント型ディスプレイ(HMD)を利用したVR型ゲームも登場してきた。もう一つ重要なのが、その背景に存在する機械学習技術で、さまざまなデータの解析に利用されている。
そして、この先20年後を考えるに当たって参考になると湯村氏が考えているのが、1991年に発表されたMark Weiser氏の論文「The Computer for the 21st Century」で提唱された「ユビキタスコンピューティング」という考え方だ。今から30年前の時点で、IoTやスマートフォンといったコンセプトを予想していた、また、続くA.K.Dey氏の「Understanding and Using Context」で示唆された「コンテキスト・アウェア」という考え方もポイントだという。
コンテキスト・アウェアとは、場所や空間、時間的なさまざまなコンテキスト(状況)を考慮したシステムを指している。そして「このコンセプトを基に20年後のテクノロジーを考えると、Microsoft HoloLensのようなものが小型化して普及したり、HMDがもっと高性能化し、自宅で会議に参加できるようになったりするだろう。また、世の中のコンテキストを取得するには多数のセンサーが必要になる。センサーがどんどん街中や路上、工場や農場などにばらまかれ、センサー自体の単価も下がり、センシングできるものが増えていくのではないか」と湯村氏は述べた。
では、それらを制御するソフトウェアのテストは、どのように変化していくだろうか。現在のテスト関連のテクノロジーを俯瞰してみると、JenkinsやCircleCIを用いた継続的インテグレーションの広がりに加え、テスト対象がソースコードだけではなくサーバ環境にも広がり、「Serverspec」のようなオープンソースソフトウェアが登場している。また、「Selenium」「Appium」など、昔は人間がやっていたUI(ユーザーインタフェース)テストを自動化するツールも生まれてきた。
湯村氏はさらに、スマートフォンやロボット、Kinectのような新たなデバイス向けのソフトウェアをテストするために、いろいろなツールがプロトタイプ的に開発されていることを紹介した。
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