世界経済の5割以上がデジタル化、IDCが2023年を予測:企業が自らコードを生成
IDCは、2023年までにデジタル経済が世界経済の主流になるという見通しの下で、今後数年のIT市場動向の予測をまとめた。企業がデジタルイノベーションを自ら作り出す世界へと変わっていくとした。
IDCは2019年10月29日(米国時間)、2020年以降の世界のIT市場動向予測を発表した。
それによると、2010年代に台頭が進んだデジタル経済は、重要な転換点に差し掛かっている。2023年までに、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実施済みの企業が生み出す商品やサービスの総額が、世界のGDPの5割以上に達する。こうした意味でデジタル経済が世界経済の主流になる見通しだ。
IDCのシニアバイスプレジデント兼チーフアナリストのフランク・ジェンズ氏は、次のように説明する。
「2023年までに世界経済の5割以上がデジタル化する中、新タイプの企業でなければ、競争し、繁栄することはできない。われわれの予測は、企業が主要技術や新しい業務モデルへの投資を加速し、ハイパースピード/ハイパースケール/ハイパーコネクテッド企業となることで、デジタル化された経済に備えようとしていることを示している」
IDCが発表した世界のIT市場動向予測のトップ10は次の通り。
(1)企業がデジタルイノベーションを加速、効率化も
ICT支出全体に占めるデジタルトランスフォーメーションとイノベーション支出の割合は、2018年の27%に対して、2023年には50%を超える。この間の年平均成長率は17%だ。
企業はイノベーション支出の拡大を続ける一方で、労働集約型ではなく資本集約型の業務モデル(最たる例はクラウド)への移行により、従来のICT予算の効率化も目指す。
(2)クラウドファースト実現のために相互接続が進む
デジタルファースト経済の中で競争するには、ユーザーがいつでもどこでもデジタルサービスを利用できるようにしなければならない。そのためには、全てのクラウドプロバイダー間、さらには拠点間でアプリケーションやデータ、管理の連携向上が必要になる。
2022年までに企業の70%が、統合型ハイブリッド/マルチクラウド管理技術やツール、プロセスをデプロイし、自社が使用するパブリッククラウドとプライベートクラウドを統合する。
(3)エッジインフラの役割が変わる
ITサービスをエッジにデプロイする理由は、顧客の期待や利便性を満たすことから、重要なエッジアクティビティーのサポートへと急速に変わっている。
2023年までに新しい企業インフラの50%以上が、企業データセンターではなくエッジにデプロイされるようになる(現在は10%に満たない)。さらに2024年までに、エッジ上のアプリケーション数は800%増加する。
(4)デジタルイノベーション工場としての企業活動が求められる
ソフトウェア主導の“デジタルイノベーション工場”として企業が業務を行うこと、これが業界内で持続的に差別化し、競争していく能力の中核を成すようになる。
2025年までに企業の3分の2近くが、活発にソフトウェアを作成し、毎日コードをデプロイするようになる。アプリケーションの90%以上がクラウドネイティブとなり、コードの80%を外部から調達し、開発者数は現在の1.6倍に増える。
(5)特定業界向けアプリケーションが爆発的に増加
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2023年国内エンタープライズITの売り上げ「半分がクラウドに」 IDCが予測
IDC Japanによる国内エンタープライズIT市場の予測によると、2018〜2023年の年間平均成長率は3.4%、2023年の市場規模は11兆9983億円の見込み。クラウド関連売上額が占める割合は、2018年の20.2%から2023年には54.4%に拡大する。 - AIシステムへの支出額が2022年には全世界で792億ドルへ、IDCが予測
IDC Japanの予測によると、AIシステムに対する全世界の支出額は、2019年に358億ドル、2022年には2019年の2倍以上の792億ドルに達する見込み。日本市場は成長率が最も高いという。世界的に、産業分野を問わず、AIシステムへの大幅な支出を見込んだ。 - DXの“現実解”を求める企業が急増――IDC、2019年の国内IT市場の主要10項目を予測
2019年は、DXの“現実的な解”を求める企業が急増し、既存業務プロセスの効率性追求などの取り組みが増えるという。一方、対話型AIやスマートフォン接続型のAR/VRヘッドセットのビジネス用途が広がるなど、DXを推進する新たなイノベーションアクセラレーターの活用が進む見通しだ。