マネージドクラウドサービスには期待が持てるのか、IDCが調査:転機を迎えるプロバイダー
マネージドクラウドサービスの利用の在り方やプロバイダーのビジネスモデルが、大きく変わる見通しだ。IDCが発表したマネージドクラウドサービスの導入動向調査レポートから分かった。
IDCは2019年11月8日(米国時間)、マネージドクラウドサービスの導入動向調査の結果をまとめたレポート「Managed CloudView 2019」を発表した。
この調査は、6カ国の幅広い業種にわたる従業員1000人以上の企業1500社を対象に実施し、IT部門またはビジネス部門に所属するマネージドクラウドサービスの購入者と非購入者が回答した。
レポートではマネージドサービスプロバイダー(MSP)に対する企業の期待が変化しており、MSPのパブリッククラウドプロバイダーパートナーのエコシステムも移り変わっていることを指摘。それに伴って購入者によるクラウドサービスの利用状況や、プロバイダーのビジネスモデル(顧客のクラウドサービスニーズへの対応)が、根本的に変わる見通しであることを明らかにしている。
IDCのアウトソーシングおよびマネージドクラウドサービス担当バイスプレジデント、デビッド・タッパー氏はユーザー企業にとってのMSPの価値を次のように語った。
「企業は、MSPを通じてマネージドクラウドサービスを利用することに大きな価値を見いだし続けている。MSPを通じてマネージドクラウドサービスを利用する目的はこうだ。クラウド活用による業務変革やマルチクラウド管理機能の確保を通じて、イノベーションや重要なビジネスプロセス、業界要件をサポートすることだ」
「だが、顧客の認識や期待の変化に加え、技術イノベーションやMSPとそのエコシステムパートナーであるハイパースケールパブリッククラウドプロバイダーの競争と協調から生まれる圧力を背景に、MSPは転機を迎えているようだ。MSPは自社のマーケットポジションはもちろん、マネージドクラウドサービスのビジネスチャンスを最大化する上で自社が長期的にどのような役割を果たすかを、明確に評価する必要がある」(タッパー氏)
レポートが報告する主な調査結果は次の通り。
MSPとハイパースケールパブリッククラウドプロバイダーの役割に関する購入者の見方が変化
MSPとハイパースケールパブリッククラウドプロバイダーパートナーに対する企業の期待が変化している。MSPには変革や戦略、マルチクラウドの要件への対応を求めている。
パブリッククラウドプロバイダーには、重要なクラウドサービスのニーズ(統合の容易さや可用性、迅速なアプリケーションプロビジョニングなど)を満たす、より戦略的なパートナーとなることを求めるようになった。
パブリッククラウドプロバイダーにシフトするソーシング戦略
企業は将来、より多くのパブリッククラウドプロバイダーを利用しようとしている。こうした中、企業の68%は、MSPのポートフォリオを集約すると回答している。
PaaS機能でイノベーションをサポートする必要性あり
企業は、クラウドネイティブアプリケーションの開発に加え、オープンソースソフトウェアやコンテナの使用を含む革新的な機能をサポートする目的で、MSPを大いに利用する意向を示している。
PaaS(Platform as a Service)は2024年までに、エンタープライズアプリケーションポートフォリオの50%以上で使用されるようになる見通しだ。
割増料金による保証付きパブリッククラウドの利用が増える
ほとんどの企業が、パブリッククラウドプロバイダーによる保証付きのパブリッククラウドを利用するために、マネージドクラウドサービスに割増料金を支払っても構わないと考えている。
企業の32%が21〜40%の割増料金を許容し、28%の企業が41〜60%の割増料金を許容すると回答している。
マネージドクラウドサービスのプロビジョニングにおけるクラウドビジネスモデルへの支持
企業は、MSPがパブリッククラウド/SaaSプロバイダーのビジネスモデルを利用することを期待している。
企業の82%が「MSPが成功するには、独自のクラウドプラットフォームを持つ必要がある」と回答し、94%が、「MSPは、SaaS(Software as a Service)機能を提供する必要がある」と回答している。
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