AWS、量子アルゴリズムの探索と設計を支援するマネージドサービス「Amazon Braket」を正式リリース:「ハイブリッド量子アルゴリズム」も実行できる
Amazon Web Services(AWS)は、量子アルゴリズムの探索と設計を支援するマネージドサービス「Amazon Braket」の一般提供を開始した。
Amazon Web Services(AWS)は2020年8月13日(米国時間)、「Amazon Braket」の一般提供を開始したと発表した。Amazon Braketは、量子アルゴリズムの探索と設計を支援するマネージドサービス。顧客はAmazon Braketを使って、AWSのコンピューティングリソースで動作する、シミュレートされた量子コンピュータで量子アルゴリズムのテストやトラブルシューティングを行い、実装の検証に役立てることができる。
量子アルゴリズムを実行する準備ができたら、Amazon Braketを使い、Rigetti Computingのゲート方式の超伝導コンピュータ、D-Wave Systemsの量子アニーリング超伝導コンピュータ、IonQのイオントラップコンピュータといったさまざまな量子ハードウェアから、目的のハードウェアを選択してアルゴリズムを実行できる。
シミュレートされたジョブと量子ハードウェアジョブは、統一されたUIで管理する。顧客はコンピューティングリソースを使用した分だけ料金を支払う。
AWSは、量子コンピューティングの可能性と、導入の難しさを次のように説明している。「量子コンピューティングでは、量子力学の法則を利用してより強力な情報処理ツールを構築することで、従来の『古典コンピュータ』では解決できなかった計算問題を解決できる可能性がある。このコンピューティング手法は、エネルギー貯蔵、化学工業、材料科学、創薬、最適化、機械学習などの分野を変革する力を持っている。しかし、それらの問題を定義して量子コンピュータのプログラムを作成するには、新たなスキルが必要だ。また、作成したアルゴリズムを実行して設計を最適化するために量子コンピューティングハードウェアにアクセスするには、費用がかかり、利便性も良くない。そのため、最新技術を評価し、量子コンピュータの可能性を最大限引き出すために手持ちのリソースをいつ投入すべきかを決定するのが難しくなっている」
メリット
「Amazon Braketを使用すれば、開発者、研究者、科学者は、量子コンピューティングを探索、評価して実験できるので、そのような問題を解決できる」とAWSは述べている。さらに同社は、Amazon Braketのメリットとして下記4点を挙げている。
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