クラウドホステッド開発環境の「Visual Studio Codespaces」が「GitHub Codespaces」に集約:分かりやすくサービスを再編
パブリックプレビュー段階にあるMicrosoftのクラウドホステッド開発環境「Visual Studio Codespaces」が、傘下のGitHubのクラウドホステッド開発環境「GitHub Codespaces」に集約されることになった。
Microsoftは2020年9月4日(米国時間)、パブリックプレビュー段階にあるクラウドホステッド開発環境「Visual Studio Codespaces」(旧称:Visual Studio Online)を、傘下のGitHubのクラウドホステッド開発環境「GitHub Codespaces」に集約すると発表した。
既存のVisual Studio Codespacesユーザーは、GitHub Codespacesへの移行を今すぐ開始できる。「Microsoft Azure」で運用されている現行のVisual Studio Codespacesは、2021年2月に提供が終了する。
なぜクラウドホステッド開発環境を集約するのか
Microsoftはこれまでのパブリックプレビューの過程で、リポジトリからコードスペースへの移行が、ユーザーのワークフローの最も重要な部分であり、大多数のユーザーは、高度に統合されたワンクリックネイティブエクスペリエンスを望んでいることが分かったとしている。
GitHubは5000万人に上る開発者に使われていることから、Microsoftは、このフィードバックに対応するには、GitHubと組み合わせることが理にかなっていると判断した。だが、GitHubネイティブなエクスペリエンスの提供開始後、Visual Studio CodespacesとGitHub Codespacesが同様のエクスペリエンスを提供していることが、ユーザーの間で混乱を引き起こしているという声も聞かれるようになった。
そこでMicrosoftは、2つの環境のエクスペリエンスを一本化することで、混乱を解消し、全ての人にシンプルなエクスペリエンスを提供できるようになり、顧客からのフィードバックへの対応を迅速に進められると考えた。
パブリックプレビューユーザーとプライベートプレビューユーザーはそれぞれどうすればよいのか
MicrosoftはVisual Studio Codespacesの現行ユーザーに、GitHub Codespacesへの移行を勧めている。GitHub Codespacesは限定パブリックβ段階にあり、Microsoftは、移行するユーザーがβプログラムにできるだけ早く追加されるよう取り組むとしている。
Visual Studio Codespacesユーザーが、次にポータルまたは「Visual Studio Code」からコードスペースに接続すると、GitHub Codespacesのβプログラムへの追加を希望するGitHubアカウントを提出するよう求められる。Visual Studio Codespacesで作成したプランを持つAzureサブスクリプションオーナーも、希望するGitHubアカウントを求める電子メールを受け取るという。
なお、GitHub Codespacesは、GitHubリポジトリに最適なエクスペリエンスを提供するが、ユーザーは「Azure Repos」や「Bitbucket」など、他の場所でホストされたGitリポジトリを利用することもできる。
「Visual Studio 2019」におけるWindowsベースCodespacesサポートのプライベートプレビューも、GitHubに移行する。プライベートプレビューの現行ユーザーは、数週間後にGitHubでプライベートプレビューが利用可能になった時点で、プライベートプレビューの利用を継続するよう直ちに招待される。WindowsベースCodespacesとVisual Studioを試すことを選択した新規ユーザーは、GitHubでプライベートプレビューを試すよう直接誘導される。
移行スケジュールは?
Visual Studio Codespacesユーザーが十分に時間をかけて移行できるように、Microsoftは次のようなスケジュールを予定している。
- 2020年9月4日 現行ユーザーがGitHub Codespacesのプライベートβへの移行を開始できるようになった
- 2020年11月20日 Visual Studio Codespacesで新しいプランとコードスペースを作成できなくなる。ただし、既存コードスペースは引き続き利用できる。新規ユーザーはGitHubでのみCodespacesにサインアップできるようになる
- 2021年2月17日 Visual Studio Codespacesポータルが閉鎖される。このサービスに残っていた全てのプランとコードスペースが削除される
どのプレビューでも、一般提供される正式版に搭載する機能が選別されるが、GitHub Codespacesへの移行も、Visual Studio Codespacesの機能が取捨選択される節目になる。
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