IoT向けの新技術を既存のTCP/IPと共存、国内発の技術が国際規格に承認:IoTの大量導入で起こるネットの混雑を防止
経済産業省は、国内発のネットワーク技術が「ISO/IEC 30161-1」として2020年11月27日に正式に国際規格として発行されたと発表した。IoTの大量導入に備えた情報指向ネットワーク技術を既存のTCP/IPネットワークと共存できる。
経済産業省は2021年2月22日、ICN(Information Centric Network:情報指向ネットワーク)技術を既存のTCP/IPネットワークと共存できるようにするための仕組みが、「ISO/IEC 30161-1 Data exchange platform for IoT services - Part 1:General requirements and architecture」として2020年11月27日に正式に国際規格として発行されたと発表した。
ICN技術は、データやコンテンツに付けられた「名前」を基に、ネットワーク上にキャッシュされた情報を取得する技術。相手のIPアドレスを指定して通信するTCP/IPとは異なる。ICN技術では、データのヘッダを軽量化できる点で、小さいデータを大量にやりとりするIoT(Internet of Things)アプリケーションと相性が良いとされる。
なぜTCP/IPではだめなのか
既存のTCP/IPの仕組みは、IPアドレスを指定して1対1で通信することを前提としている。
このため、1対多や多対多の通信となる場合にはサーバへアクセスが集中する。さらにサーバや端末が移動したときにはDNSの経路情報も更新する必要があり、通信量の増加を招くことがある。今後IoTが普及すると、500億個ともいわれるIoT機器からの大量のデータがネットワークを流れ、通信環境が逼迫(ひっぱく)すると、経済産業省は予測している。
ICN技術は何が違うのか
ICN技術はこうした課題を解決する仕組み。金沢工業大学で電気電子工学科の教授を務める横谷哲也氏が中心となって推進してきたIoTプラットフォーム「IoT Data Exchange Platform(IoT DEP)」がISO/IEC 30161-1として今回、承認された。
IoT DEPはIoTに特化した通信方式で、電子メールやインターネットアクセスなどの既存のサービスとの接続を確保しながら、ICN技術を適用して膨大な数のデータの転送を可能とする。
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