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AWS、障害注入試験に向くフルマネージドサービス「AWS Fault Injection Simulator」を正式リリースカオスエンジニアリングに役立つ

AWSはシステムに意図的に障害を発生させる障害注入試験に向いたフルマネージドサービス「AWS Fault Injection Simulator」の一般提供を開始した。CPUやメモリの使用量の急増といった破壊的なイベントを発生させてアプリケーションに負荷をかけ、システムの反応を監視して、改善できる。

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 Amazon Web Services(AWS)は2021年3月16日(米国時間)、システムに意図的に障害を発生させる試験(障害注入試験)を実行できるフルマネージドサービス「AWS Fault Injection Simulator」の一般提供を開始したと発表した。

 アプリケーションのパフォーマンスやオブザーバビリティ(可観測性)、レジリエンス(復元力)の継続的な改善を容易にするとしている。

 障害注入試験は、カオスエンジニアリングで使用される。カオスエンジニアリングはテスト環境や本番環境で、CPUやメモリの使用量の急増といった破壊的なイベントを発生させてアプリケーションに負荷をかけ、システムの反応を監視して、改善につなげる手法。障害注入試験は分散システムで見つけにくい隠れたバグや監視上の盲点、パフォーマンスボトルネックを発見するために必要な、実世界の条件を作り出す際に役立つ。

どのように試験を進められるのか

 開発チームがアプリケーションの動作の信頼性を確保できるように、さまざまなAWSサービスを対象として、制御された障害注入試験をセットアップし、実行するプロセスを、Fault Injection Simulatorで簡素化できる。Fault Injection Simulatorでは目的の破壊的イベントを生成する作成済みテンプレートを使って、迅速に試験をセットアップできる。

 また、本番環境で試験するために必要な制御機能や保護機能も提供する。例えば、特定の条件(「CloudWatch Alarms」で定義される)が満たされた場合に、自動的に試験をロールバックしたり、停止したりすることが可能だ。

 コンソールを数回クリックすれば、分散システムの一般的な障害が同時並行で、あるいは相次いで起こる複雑なシナリオを実行できる。


AWS Fault Injection Simulatorによる障害注入試験の流れ(出典:AWS

さまざまなAWSのサービスが対象になる

 Fault Injection Simulatorによる試験では、AWSの特定のリソースセットを対象に、一連のアクションを実行できる。

 発表時点では、「Amazon EC2(Elastic Compute Cloud)」「Amazon EKS(Elastic Kubernetes Service)」「Amazon ECS(Elastic Container Service)」「Amazon RDS(Relational Database Service)」がサポートされている。

 2021年中に、サポートされるリソースとアクションが追加される見込みだ。対象リソースは、種類やARN(Amazonリソースネーム)、特定の属性の検索によって選択できる。

 AWS Fault Injection Simulatorは現在、アジア太平洋地域の大阪リージョンと2つの中国のリージョンを除く世界の商用AWSリージョンで利用できる。この3つの商用リージョンでも将来、利用可能になる予定だ。

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