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2021年のデータ/アナリティクス技術の10大トレンドを発表――Gartnerコロナ後の競争力に影響する主要動向

Gartnerは企業向けのデータ/アナリティクス技術について、2021年版の10大トレンドを発表した。このトレンドを把握することで、企業が変化や不確実性、機会に対応しやすくなるという。

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 Gartnerは2021年3月16日(米国時間)、2021年のデータ/アナリティクス技術の10大トレンドを発表した。

 同社のリサーチ・バイス・プレジデントであるリタ・サラム氏は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)は、組織に破壊的な変化をもたらした。データ/アナリティクスの担当リーダーは重要な技術トレンドを特定し、自社の競争力に大きく影響する可能性があるものへ優先的に取り組む必要がある」と語っている。

トレンド1:よりスマートな責任あるスケーラブルなAI

 人工知能(AI)や機械学習(ML)の影響が大きくなるにつれ、よりスマートな責任あるスケーラブルなAIをデプロイ(展開)することが重要だ。そうすることで企業は学習アルゴリズムと解釈可能なシステムを利用して、価値創出に必要な時間を短縮し、ビジネス効果を高めることができる。

トレンド2:構成可能なデータ/アナリティクス

 オープンでコンテナ化されたアナリティクスアーキテクチャを採用することで、アナリティクス機能がより構成可能になる。

 構成可能なデータ/アナリティクスにより、さまざまなデータ、アナリティクス、AIソリューションのコンポーネントを利用しやすくなり、洞察を行動につなげるための柔軟で使いやすいインテリジェントアプリケーションを迅速に構築できる。

 データの主要な格納場所がクラウドに移行する中、構成可能なデータ/アナリティクスは、アナリティクスアプリケーションを構築するためのアジリティーの高い方法になる。これを実現するのが、クラウドマーケットプレースとローコード、ノーコードソリューションだ。

トレンド3:データファブリックが基盤に

 デジタル化の進展と消費者の解放に伴い、データファブリックを利用して組織のデータ資産の多様性や分散性、規模、複雑性の向上に取り組む担当リーダーが増えている。

 データファブリックではアナリティクスを利用して、データパイプラインを絶えずモニタリングできる。データ資産の継続的なアナリティクスによって、データファブリックが多様なデータの設計やデプロイ、活用に役立つ。統合に必要な時間を30%削減できる他、デプロイでは30%、メンテナンスでは70%削減できる。

トレンド4:ビッグデータから広範な小規模データへ

 コロナ禍に伴うビジネスの激変により、大量の過去のデータに基づくMLモデルとAIモデルは意味を成さなくなった。加えて人間とAIによる意思決定も複雑さが増したため、より多様なデータが担当リーダーには必要になっている。

 そのため、データ/アナリティクスのリーダーは、使用可能なデータを効果的に活用できる分析手法を選ばなければならない。さまざまな使用可能なデータがあり、これには多様な小規模データや大規模データ、非構造化データ、構造化データが含まれる。

 Gartnerは「広範な小規模データを活用するアプローチは、強力なアナリティクスとAIを実現するとともに、大規模データセットへの依存度を下げる。企業は広範なデータの活用により、より包括的な状況認識が得られ、アナリティクスをより良い意思決定につなげることができる」と述べている。

トレンド5:xOps

 アナリティクスやAIプロジェクトが失敗する主な原因は、後付けで運用を進めることにある。

 データ/アナリティクスのリーダーが、DevOpsのベストプラクティスを用いてxOps(DataOps、MLOps、ModelOps、PlatformOpsなど)を実践するとよい。xOpsを用いた運用を大規模に進めれば、アナリティクスとAI資産の再現性、トレーサビリティ、整合性、統合性を実現できるだろう。技術やプロセスの重複が減り、自動化が可能になる。

トレンド6:エンジニアリング意思決定インテリジェンス

 エンジニアリング意思決定インテリジェンスは、個々の意思決定だけでなく、鎖状につらなる意思決定やビジネスプロセスへの落とし込みにも役立つ。ある決定とその結果の組み合わせをネットワークとしてまとめ上げることも可能だ。

 意思決定の自動化や拡張が進む中、エンジニアリング意思決定は、データ/アナリティクスのリーダーが意思決定の適切さや再現性、透明性、トレーサビリティを高める役に立つ。

トレンド7:コアビジネス機能としてのデータ/アナリティクス

 データ/アナリティクスは、中核的なコアビジネス機能になりつつある。また、業績と連動した共有のビジネス資産にもなる。

 このような状況では中央のデータ/アナリティクスチームと、部門ごとのチームとのコラボレーションが改善されるため、データ/アナリティクスのサイロ化が解消へと向かう。

トレンド8:グラフがあらゆるものを関連づける

 グラフは最新のデータ/アナリティクス機能の基盤であり、さまざまなデータ資産の中から人や場所、モノ、イベント、位置の関係を明らかにできる。データ/アナリティクスのリーダーはグラフを利用して、ビジネスに関する複雑な質問に迅速に答えることができる。そのような質問では文脈の把握はもちろん、複数のエンティティーのつながり、強みについて理解しなければならないからだ。

 Gartnerはグラフ技術の利用が急速に伸びると予測した。2021年の利用率は10%にとどまるが、2025年までに、80%で使用されるようになり、企業の迅速な意思決定を促進するとしている。

トレンド9:オーグメンテッドコンシューマーの台頭

 ほとんどのビジネスユーザーは現在、定義済みのダッシュボードを使って手動でデータを探索している。これでは誤った結論や問題のある意思決定、行動につながってしまうかもしれない。

 だが、今後は定義済みのダッシュボードを使う代わりに、ユーザーニーズに合わせて動的にカスタマイズされ、生成、提供される洞察を利用するようになるだろう。モバイルデバイスから会話で指示したり、自動的に入手したりできるようになるからだ。

 「こうして情報消費者は、アナリストや市民データサイエンティストしか利用できなかったアナリティクス機能を享受するようになり、オーグメンテッドコンシューマー(拡張された消費者)に変わる」と、サラム氏は述べている。

トレンド10:エッジにおけるデータ/アナリティクス

 データ/アナリティクスとこれらをサポートする技術は、物理的な資産に近いエッジコンピューティング環境で運用されることが多くなっている。2023年までに、データ/アナリティクスのリーダーが担当する主な業務の50%以上がエッジ環境で作成、管理、分析されたデータで占めるようになる。

 このような傾向を利用すれば,データ管理の柔軟性やスピード、ガバナンス、回復力の向上を図ることができる。

 エッジへの関心の高まりは、リアルタイムのイベント分析のサポートから、モノの自律的な動作の実現まで、多様なユースケースに広がっている。

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