Always On 可用性グループのセカンダリレプリカの結合状態を出力する:SQL Server動的管理ビューレファレンス(5)
「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、Always On 可用性グループのセカンダリレプリカの結合状態を出力する「sys.dm_hadr_availability_replica_cluster_states」を解説します。
本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は、Always On 可用性グループのレプリカの一覧を出力する「sys.dm_hadr_availability_replica_cluster_nodes」を解説します。対応バージョンはSQL Server 2012以降です。
概要
Always On 可用性グループにおいて、可用性グループにセカンダリレプリカを追加するには、プライマリレプリカに接続してセカンダリレプリカの構成を行った後に、追加するセカンダリレプリカインスタンスに接続して、可用性グループへの結合を実施する必要があります。
「sys.dm_hadr_availability_replica_cluster_states」動的管理ビューを出力することで、セカンダリレプリカが可用性グループに結合済みかどうかについて確認することが可能です。
出力内容
列名 | データ型 | 説明 |
---|---|---|
replica_id | uniqueidentifier | 可用性レプリカID |
replica_server_name | nvarchar (256) | 可用性レプリカをホストするインスタンス名 |
group_id | uniqueidentifier | 可用性グループID |
join_state | tinyint | 可用性レプリカの結合状態 0 = 未結合 1 = 結合済み、スタンドアロン インスタンス 2 = 結合済み、フェールオーバー クラスタ インスタンス |
join_state_desc | nvarchar(60) | join_state の説明 NOT_JOINED JOINED_STANDALONE_INSTANCE JOINED_FAILOVER_CLUSTER_INSTANCE |
動作例
T-SQLを使用して可用性グループを構成します(図1)。
CREATE AVAILABILITY GROUP ステートメントを使用して可用性グループを作成した直後に、「sys.dm_hadr_availability_replica_cluster_states」動的管理ビューを出力すると、各セカンダリレプリカは未結合状態となっています(図2)。
この状態では、自動シード処理によるセカンダリレプリカの初期化やトランザクションの同期処理は開始されません。
セカンダリレプリカに接続して、JOIN引数を使用したALTER AVAILABILITY GROUPステートメントを実行することで、セカンダリレプリカを可用性グループに結合します(図3)。
セカンダリレプリカを結合した後に「sys.dm_hadr_availability_replica_cluster_states」動的管理ビューを出力すると、セカンダリレプリカが結合状態になったことを確認できます(図4)。
※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 CTP2」をインストールした環境を想定して解説しています。
筆者紹介
椎名 武史(しいな たけし)
日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。
伊東 敏章(いとう としあき)
日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。
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