AWS、スケーラブルな本番Webアプリケーションのデプロイに適した「AWS App Runner」をリリース:経済的なCI/CDの実現に役立つ
Amazon Web Servicesは、新しいフルマネージドサービスサービス「AWS App Runner」を発表した。ソースコードまたはコンテナイメージから、スケーラブルで安全なコンテナ化されたWebアプリケーションとAPIを簡単かつ経済的にAWSクラウドへ直接デプロイできる。
Amazon Web Services(AWS)は2021年5月18日(米国時間)、新しいフルマネージドサービス「AWS App Runner」を発表した。
AWS App Runnerはソースコードまたはコンテナイメージから、スケーラブルで安全なコンテナ化されたWebアプリケーションとAPIをサービスとしてAWSクラウドに直接デプロイするための高速かつシンプルで経済的な方法だという。
ユーザーはAWS App Runnerを利用するに当たって新しい技術を学習する必要がない。どのコンピュートサービスを使用するかを決めたり、AWSリソースのプロビジョニングや構成を調べたりする必要もない。
AWS App Runnerはユーザーのコードやイメージリポジトリに直接接続し、自動インテグレーションとデリバリーパイプラインを提供する。ユーザーはフルマネージドオペレーションや高いパフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティを享受できる。
開発者はAWS App Runnerにより、コードやイメージの新バージョンをデプロイするプロセスを簡素化できる。
オペレーションチームはAWS App Runnerを使って、コミットがコードリポジトリにプッシュされたり、コンテナイメージの新バージョンがイメージリポジトリにプッシュされたりするたびに、自動デプロイを実現できる。
使いやすさと運用負荷の低さ、自動化が特徴
AWS App Runnerには「使いやすさ」「自動スケーリング」「運用負荷の低減に役立つ」といった特徴があるという。
- 特有の知識を必要とせず使いやすい
コンテナやインフラを扱った経験がなくても、数クリックするだけで、安全なWebスケールのアプリケーションをビルド、実行できる。サーバの構成やネットワーク、ロードバランシング、デプロイパイプラインの知識は必要ない。
- トラフィックに応じた自動スケーリングを実現できる
Webスケールの高可用アプリケーションを簡単かつ経済的に実行できる。AWS App Runnerは、トラフィックの増減に応じてリソースをシームレスにスケールアップするとともに、ユーザーが構成した数のプロビジョンドコンテナインスタンスに自動的にスケールダウンして、コールドスタートを回避し、一貫した低レイテンシを確保する。
- 運用負荷の低減に役立つ
AWS App Runnerのリソースとインフラコンポーネントは、AWSによって完全に管理されるので、AWSによるセキュリティとオペレーションのベストプラクティスの恩恵を受ける。ユーザーはインフラとコンプライアンスの要件を満たしながら、アプリケーションに集中し続けることができる。
- 自動ロードバランシングを実現する
自動的にトラフィックのロードバランシングを行い、アプリケーションについて高い信頼性と可用性を実現する。
- ログと指標を確保できる
ビルドやデプロイ、ランタイムの詳細なログを提供し、コンテナ化されたアプリケーションのモニタリングと最適化を容易にする。また、「Amazon CloudWatch」との統合機能により、包括的なコンピュート指標も利用できるようにする。
- 証明書を管理できる
セットアップなしでフルマネージドのTLS証明書を利用できる。AWS App Runnerは証明書を失効日の前に自動的に更新する。
App Runnerを使い始めるにはどうすればよいのか
AWS App Runnerに向けたサービスのデプロイは、App RunnerコンソールやApp Runner API、AWS CLI(コマンドラインインタフェース)、AWS SDKのいずれかを使って、定義、構成できる。
さらにコンテナのビルドプロセスをきめ細かく制御したい場合のために、AWS App Runnerは最新バージョンの「AWS Copilot」と連携する。Copilotを使うことで、AWS App Runnerでデプロイするコンテナのビルドを自動化できる。
課金はApp Runnerサービスが実行されている間だけ、同サービスが使用するリソースに対するものだけだ。App RunnerコンソールやApp Runner API、AWS CLIを使って、サービスを簡単に一時停止したり、再開したりできる。
AWS App Runnerは現在、米国東部(バージニア北部)と米国西部(オレゴン)、米国東部(オハイオ)、アジアパシフィック(東京)、欧州(アイルランド)の各リージョンで利用できる。利用できるリージョンは近いうちに追加される予定だ。
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