「AWS Outposts」のVMware版「VMware Cloud on AWS Outposts」はどう使える?:VMworld 2021で米国での提供開始を発表
VMwareが発表した「VMware Cloud on AWS Outposts」は、企業拠点にAWSを持ち込む「AWS Outposts」に、VMware環境を乗せたものだ。このサービスは、以前からオンプレミスで VMware環境を運用している企業にとって、どんな意味があるのだろうか。
VMwareは2021年10月5日(現地時間)、年次イベントVMworld 2021で、「VMware Cloud on AWS」をユーザー拠点に持ち込めるサービス、「VMware Cloud on AWS Outposts」を発表した。米国では10月中に正式な提供を開始する。他の地域における提供時期は未定。
このサービスの使い勝手はどのようなものだろうか。既にオンプレミスで VMware環境を運用している企業が検討する価値はあるのだろうか。本記事ではこれを探る。
VMware Cloud on AWS Outpostsは、実は突然登場したものではない。Amazon Web Services(AWS)がAWS Outpostsを2018年11月に発表した際、 「VMware Cloud on AWS Outpostsバリアント(タイプ)」として紹介していた。当時のコンセプト通り、 AWS OutpostsにVMware Cloud on AWSを載せたものだ。
参照記事:
AWSクラウドをオンプレミスに持ち込むAWS Outpostsが発表
AWS、「AWS Outposts」を正式リリース、日本でも注文可能
まずVMware Cloud on AWSとは、AWSのデータセンターで、AWSの物理インスタンス(物理サーバ)に顧客専用の「VMware Cloud Foundation」(VMware環境)を自動構築・運用代行するサービス。 AWSのデータセンターに置かれるため、主要なAWSサービスとの連携もできる。 また、ユーザー組織の拠点にあるVMware環境と接続することで、仮想マシンの移動が容易にできる。このサービスはVMwareがサポートを一括して行っている。
一方、AWS Outpostsは、ユーザー組織の拠点でAWSのサービスを提供するソフトウェア/ハードウェア一体型ソリューション。上の発表時の記事では 「AWSクラウドをオンプレミスに持ち込む」と表現した。
このサービスでは、AWSが利用しているのと同じサーバ機種を、ユーザー組織のデータセンターや拠点に設置する。このサーバは AWSの最寄りのリージョン(日本では東京あるいは大阪)のアベイラビリティゾーンに接続し、その一部として機能する(ユーザーVPCのサブネットとなる)。 そしてAWSのサービス、例えばAmazon EC2、Amazon RDS、Amazon EKSなどをこのサーバ上で使うことができる。パブリッククラウドのAWSと同様に、AWS管理コンソールあるいはAPI、関連ツールを使って管理できる。まさに AWSをオンプレミスに持ち込むものとなる。AWS Outpostsでは、AWSが設置やサポートを行う。
なお、AWS Outpostsにはこれまで、24インチ/42Uのラックに収められて届けられ、そのまま使わなければならないという、利用障壁があった。 ただし、「2021年中に、1U/2Uのラックマウント型サーバとして導入できるようになる」とAWSは発表している。
これまでVMwareを運用してきた企業にとってメリットはあるか
VMware Cloud on AWS Outpostsでは、VMware環境がAWS Outpostsのハードウェアにインストールされ、ユーザー拠点に設置される。AWSはファームウェアアップデートを含むサーバハードウェアの運用を行う。一方でVMware環境のメンテナンスやアップデートは、VMwareが担当する。サポートの窓口はVMwareとなる。
これまで社内でVMwareを運用してきたユーザーからは、「何が新しいのか。自社のデータセンターや社内でVMwareを動かすなら、これまでうちがやってきたきことと変わりないではないか」という声が聞こえてきそうだ。だがそうした企業でも次のようなメリットを享受できる可能性がある。
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