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SQL Serverに送信されたステートメントを出力するSQL Server動的管理ビューレファレンス(58)

「Microsoft SQL Server」が稼働するデータベースシステムを運用する管理者に向け、「動的管理ビュー」の活用を軸にしたトラブル対策のためのノウハウを紹介していきます。今回は、SQL Serverに送信されたステートメントの出力について解説します。

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SQL Server動的管理ビュー一覧

 本連載では、「Microsoft SQL Server(以下、SQL Server)」で使用可能な動的管理ビューについて、動作概要や出力内容などを紹介していきます。今回は動的管理ビュー「sys.dm_exec_input_buffer」における、SQL Serverに送信されたステートメントの出力について解説します。対応バージョンは、SQL Server 2014以降です。

概要

 「sys.dm_exec_input_buffer」動的管理関数を使用すると、指定したセッションでクライアントからSQL Serverサービスに最後に送信されたステートメントテキストを確認できます。

 ステートメントテキストを確認する別の方法として「sys.dm_exec_requests」動的管理ビューの「sql_handle」列の値を使用して、「sys.dm_exec_sql_text」動的管理関数により現在のセッションのステートメントテキストを取得する方法があります。

 「sys.dm_exec_sql_text」動的管理関数を使用した方法では、SQL Serverのエンジンにより現在実行されている要求のステートメントテキストを取得するのに対し、「sys.dm_exec_input_buffer」では、あくまでクライアントからSQL Serverサービスに送信されたステートメントテキストが取得されるという違いがあります。

構文と引数

構文 sys.dm_exec_input_buffer ( session_id , request_id )

引数名 データ型 説明
session_id smallint 参照するバッチを実行しているセッションIDを指定
「session_id」は次の動的管理ビューから取得できる
 「sys.dm_exec_requests」
 「sys.dm_exec_sessions」
 「sys.dm_exec_connections」
request_id int 「request_id」は次の動的管理ビューから取得できる
 「sys.dm_exec_requests」

出力内容

列名 データ型 説明
event_type nvarchar(256) セッションIDの入力バッファーに含まれるイベントの種類
parameters smallint ステートメントに指定されたパラメータ
event_info nvarchar(max) セッションIDの入力バッファーに含まれるステートメントのテキスト

動作例

 SQL Server Management Studio(SSMS)でSQL Serverに接続して、テーブルを参照する単純なクエリを実行します(図1)。

図1
図1 単純なクエリを実行したところ

 別のセッションで「sys.dm_exec_input_buffer」動的管理関数を実行して、最初に実行したクエリのセッションの入力バッファーを出力します(図2)。実行したクエリテキストが出力されました。

図2
図2 「sys.dm_exec_input_buffer」動的管理関数で、実行したクエリが出力された

 次に、実行するクエリをストアドプロシージャの呼び出しに変更し、クエリの実行中に、別のセッションで「sys.dm_exec_input_buffer」動的管理関数を出力します(図3)。実行したストアドプロシージャを呼び出すクエリのテキストが出力されました。

図3
図3 ストアドプロシージャ呼び出しでも、実行したクエリが出力された

 もう一度、ストアドプロシージャを呼び出すクエリを実行します。実行中に、「sys.dm_exec_sql_text」動的管理関数を「sys.dm_exec_requests」動的管理ビューと組み合わせて使用してクエリテキストを確認します(図4)。実行中のストアドプロシージャの定義が表示されました。

図4
図4 「sys.dm_exec_sql_text」では、実行しているストアドプロシージャの定義が表示された

 このように、「sql_handle」をもとにした「sys.dm_exec_sql_text」動的管理関数と「sys.dm_exec_input_buffer」動的管理関数では、出力される対象が異なることが分かります。クライアントからSQL Serverに送信された大本のステートメントを確認するには「sys.dm_exec_input_buffer」動的管理関数を使用します。

※本Tipsは、「Windows Server 2019」上に「SQL Server 2019 RC1」をインストールした環境を想定して解説しています。

筆者紹介

椎名 武史(しいな たけし)

日本ユニシス株式会社所属。Microsoft MVP for Data Platform(2017〜)。入社以来 SQL Serverの評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。SQL Serverのトラブル対応で社長賞の表彰を受けた経験も持つ。休日は学生時代の仲間と市民駅伝に参加し、銭湯で汗を流してから飲み会へと流れる。

伊東 敏章(いとう としあき)

日本ユニシス株式会社所属。入社以来SQL Server一筋で評価/設計/構築/教育などに携わりながらも、主にサポート業務に従事。社内のプログラミングコンテストで4回の優勝経験も持つ。趣味は輪行で週末は自転車を持っての旅行。目標は色々な日本百選を制覇すること。


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